特集:2011年10月掲載
三菱電機系列の家電リサイクルの最先端工場(その2)
使用済家電の混合プラスチックを種類別プラに選別
グリーンサイクルシステムズ(GCS)

千葉県緑区の土気(とけ)緑の森工業団地の中にある(株)グリーンサイクルシステムズは、家電リサイクル工場から出た混合プラスチックの高純度選別を行う会社です。家電リサイクル会社ハイパーサイクルシステムズ(HCSと略)とは兄弟会社の関係にあり、HCSの千葉工場も併設されています。プラスチック処理促進協会は2011年4月5日、同社を訪問して、現状をお聞きしました。

会社概要
株式会社グリーンサイクルシステムズ
〒267-0056千葉県緑区大野台1-2-1
1998年(平成10年)7月設立
処理能力1000t〜1300t/月
処理実績(2010年度)約5200t
処理品目混合プラスチック
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高純度選別までの経緯

同社は100%三菱電機出資の子会社で、当初はHCSの敷地内でOA機器のリサイクル処理会社として事業を行っていました。その後、営業権をHCSに譲渡し、約8年休業したのち、2010年4月に現行の混合プラスチック選別事業の会社として生まれ変わったそうです。2010年10月からは、金属の再生素材化ということで、エアコン・冷蔵庫用の圧縮機をさらに解体し、鉄と銅に分けるという事業も始め、2本の柱で運営しています。

扱っている混合プラスチックはHCS本社工場で分別されたものがほとんどで、OA機器、冷蔵庫、エアコン、洗濯機の金属、異物を除いた混合プラスチックです。これをPP(ポリプロピレン)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)、PS(ポリスチレン)、その他のプラスチックに分け、一部はペレット化しています。

2010年12月からは他の工場からの混合プラスチックも受け入れ始めましたが、まだそれほど量は増えておらず、今後はその割合を増やすということです。製品の売り先も三菱電機以外のさまざまな業種のメーカーがあります。

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混合プラスチックの高度選別フロー

混合プラスチックは、湿式比重選別、静電選別、X線分析選別という3つの選別工程を経て選別されます。湿式比重選別は、水を使い、水より軽いPP(比重0.91〜0.98)を浮上させ、水より重いABS、PS(比重10.4〜1.10)を沈殿させます。他にも水を使うものでは、遠心分離する工程、ジギングという工程があります。ジギングというのは、水を上下に揺動させて、比重の軽いものと重いものを分ける方法です。静電選別は、湿式比重選別では選別できなかったABSとPSの粒子をすり合わせて静電気を起こし、プラスとマイナスの電極で分離するという方法です。この方法を使うことで水より重いプラスチックを選別することができます。X線分析選別装置は、臭素系難燃剤を含んだプラスチックにX線を照射すると影ができることを利用したもので、影ができた物質をエアガンで撃ち落として分離するというものです。エアガンは100以上並んで装備されており、一瞬のうちに分離します。この装置は1分間120mのスピード、PPなら1時間1t強の処理能力があります。このX線分析選別装置は2010年に新聞社などの主催する環境関連の賞を受賞しています。

この三つの選別方式で、全体の混合プラスチックの70%を再利用できると想定されます。選別設備は、時間当り2.3t、1000t/月〜1300t/月(24時間操業)の処理が可能です。投入した原料の6〜7割が高純度プラスチックとして回収されます。昨年はHCSからの材料が中心で、約5200tを処理しました。

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環境リスク対応と品質保証体制

環境リスクへの対応として、まず挙げられるのが水の循環。工場のある工業団地では上水を使用しており、湿式選別に用いる水は99%循環させています。1日約150t使用する水のほとんどを循環させており、下水、河川への排水は一切ありません。

作業は高度に自動化しているため、工場内にはメンテナンスを含め6人のオペレーターがいるだけです。再生プラスチックの品質管理を行うための様々な検査設備があります。

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自己循環リサイクル事例、エアコン(霧ケ峰)

ここで選別されたプラスチックは、三菱電機の家電製品にも使用されています。中でもエアコン霧ケ峰の最上位機種(2010年度品)には、154のプラスチック部品中の24の部品がここで選別されたリサイクル材で作られています。

他に、冷蔵庫、除湿機、食器洗い洗浄機の内装部品などにも使われており、適用部品の種類、量はともに増えると予想されます。

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これからの課題は?

以上みてきたように、グリーンサイクルシステムズは、ハイパーサイクルシステムズとの連携で、使用済家電から回収されるプラスチックのマテリアルリサイクル割合を大きく向上させています。それまでの家電リサイクル工場では、手解体で単一素材にできる量は廃プラスチックのうち約6%だったものが、70%になったのです。そして、そのプラスチック素材が再び家電に使われ、何度も循環することも夢ではなくなりました。

このように、グリーンサイクルシステムズでは、家電リサイクル対象機種以外の製品も含めた自己循環(家電から家電にプラスチックをリサイクル利用する)システムの構築を進めております。

こうしたリサイクルシステムは、節電や二酸化炭素(CO2)削減といった環境負荷低減に大きく貢献するものです。

しかし企業のPR不足もあって、残念ながら消費者の商品購入の選択基準にプラスチックの家電to家電利用システムは入っておりません。

ところが、今年の3月まで行われたエコポイント制度や、東日本大震災以降の節電対策もあり、消費者の選択基準にエコが大きな位置を占めはじめていることは確かです。そこで、今後は家電to家電などが新たな商品購入選択基準となるよう家電プラスチックのリサイクルシステムのPRを進めていけば、事態は大きく変わることが期待されます。そして、新たな選択基準が定着しはじめれば、グリーンリサイクルシステムズに限らす、多くの家電メーカー・リサイクル事業者がプラスチックリサイクルにさらに積極的に取り組むという良循環が生まれることでしょう。

一方、消費者もリサイクル料金を支払うだけではなく、リサイクルの行方にもっと関心を持つようになれば、良循環に拍車をかけることにつながります。

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グリーンサイクルシステムズ 松田敏社長のお話

「この事業を1年間やってみて、環境面でもCO2削減に寄与し、品質のよいプラスチックができる自信がつきました。現在は使用済家電の処理台数が1年間通して一定していないために材料が少量しか入らない時期があり、フル操業したくてもできないのが悩みです。近接の家電リサイクル工場からも混合プラスチックを受け入れて量を増やし、操業度を上げたいと考えています。」

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