特集
廃プラスチック類の埋立ゼロへ 東京都 (その2)
─マテリアルリサイクル、サーマルリサイクルの推進で─

プラスチック情報局では、埋立処分からリサイクルへと大きく方向転換した背景や現在の状況、今後の計画などを2回に分けて掲載します。第二回目は、廃プラスチック類をサーマルリサイクルする東京二十三区清掃一部事務組合、そして実際に新しい分別区分を設け収集を実施する23区の内、港区と世田谷区を取材しました。

border
東京都二十三区清掃一部事務組合取材レポート
家庭から排出される廃プラスチック類のサーマルリサイクルを担う東京二十三区清掃一部事務組合

2000年4月、それまで東京都が行ってきた一廃の収集・処理・処分運搬業務が23区へ全面的に移管されたのを機に、23区が共同して設立したのが、可燃ごみ・不燃ごみ・粗大ごみ等の中間処理を行う「東京二十三区清掃一部事務組合」(以下「清掃一組」と略)。可燃ごみの処理に加え、今まで不燃ごみだった廃プラスチック類のサーマルリサクルの推進役を担うことになりました。

30数年間にわたり、「不燃ごみ」として埋め立ててきた廃プラスチック類を「可燃ごみ」に変更、サーマルリサイクルへ車線変更するに至った背景と経緯について、清掃一組に総務部企画室長の小林正自郎さんを訪ね、話をうかがいました。

●焼却施設の新鋭化で廃プラスチック類の
 全量をサーマルリサイクル

23区の全区で、可燃ごみと不燃ごみに分別収集するようになったのは1973年のこと。このとき廃プラスチックは焼却に適さないごみとして不燃ごみに分類されました。

この間の事情について、「長いこと不燃ごみとして東京都の最終処分場に埋め立ててきた一廃の中の廃プラスチック類だが、当時の清掃工場は数も少なく、増え続ける台所などから排出される可燃ごみの焼却で手一杯だった。とても廃プラスチックまで手が回らなかったことと焼却施設が公害防止対策や高カロリーごみ対応が十分ではなかったこともあり、やむを得ず不燃ごみとして立処分をしてきた」 と話す小林総務部企画室長。

その後ごみ量の減少や清掃工場の建設により、1997年になってようやく収集した可燃ごみの全量を焼却できるようになりました。

また、1999年にダイオキシン類対策特別措置法が制定され、同法の施行を機に2002年12月までにすべての清掃工場で公害防止設備を性能の優れたものに入れ替えるとともに、清掃工場の新設・建て替えを進める過程で焼却炉や公害防止設備の性能の飛躍的向上を図った。

しかし、依然廃プラスチック類は不燃ごみとして破砕選別処理されて大半が埋立処分されていました。

増え続ける一方の廃プラスチック類。このままでは最終処分場の寿命をも脅かす状況になるとして、23区は検討に検討を重ねてきました。

こうした流れの中、2004年5月、東京都廃棄物審議会が「廃プラスチック類は貴重な資源であり埋立不適物であるとして発生の抑制やマテリアルリサイクルを徹底し、リサイクルに不向きな廃プラスチック類はサーマルリサイクルをすることによって埋立処分量ゼロを目指す」とした答申を東京都に提出しました。

2005年には、国が「一廃の廃プラスチック類は直接埋め立てを行わず、熱回収するのが適当」との廃棄物減量の基本方針が示されるなど、一廃の廃プラスチック類に対する処理方法を大きく変えざるを得ない環境になってきたわけです。

埋立処分量ゼロとは、廃プラスチック類を破砕したあと埋立処分していた現在の方法を改め、廃プラスチック類の埋立を中止することを意味します。全国の大都市が抱える共通した問題だけに、注目を集めそうです。

●サーマルリサイクルの実証確認で環境への影響は基準値以下

このような国の方針や東京都の答申内容に基づき、2005年10月に開かれた23区区長会総会で決定された内容は「一廃の廃プラスチック類のサーマルリサイクルを2008年度から本格実施をする」というもの。

マテリアルリサイクルを一層推進することを前提に、廃プラスチック類の分別基準を「不燃ごみ」から「資源または可燃ごみ」に変更してサーマルリサイクルに切り替えることによる多少の混乱はあっても、最終処分場の延命化を最大の目標にしたという意味で、強い決意を示した内容になりました。

ただ、廃プラスチック類のリサイクルについては、各区の地域事情やコスト負担の考え方が異なるため、統一した範囲を定めずに、各区の創意工夫によって最も適切な方法を選択すべきだ、としているのが特徴とも言えます。

この決定によって、2006年度に一部の区でモデル収集を2007年10月以降は23区に拡大、清掃一組は搬入された廃プラスチック類をサーマルリサイクルすることによってどのような影響が出るのか、についてすべての清掃時工場で実証確認を行いました。

その内容は、運転管理上の操作性、燃焼状態の変化、炉やボイラーへの影響など継続的に調査を行うものなどですが、排水、排ガス、焼却施設周辺環境への影響のほか、小林総務部企画室長によりますと「基準値のある項目では基準値を下回り、基準値のない項目については通常の変動範囲内だった」とのことです。

このことは、廃プラスチック類をサーマルリサイクルしても、環境に与える影響は最小限にとどまることを立証したとも言え、全国から注目を集める中でのスタートとなりそうです。

サーマルリサイクル

廃プラスチック類をそのまま焼却するほか、細かく破砕処理したり固形化(RPF=廃プラスチック類をとその他の紙類を混ぜて固形化)して焼却し、熱を回収するリサイクル法。

清掃一組では、廃プラスチック類その他可燃ごみとともに焼却して蒸気を発生させ、その蒸気によってタービンを回転させ発電しています。

この電力は、清掃工場および関連施設で使う電力をまかなうほか、余った電力については電力会社に買い取ってもらっています。2006年度の総発電量は9億6238万kWh、そのうち電力会社に買い取ってもらった量は3億7355万kWh(金額にしますと31億4421万円)です。1世帯1か月300kWhと仮定しますと、買い取ってもらった電力量は約10万世帯分に当たります。

余熱の利用

余熱とは、ごみを焼却したときに発生する熱エネルギーのことで、通常蒸気として回収し、清掃工場の稼動や発電に利用するほか、近隣の公共施設に熱供給され温水プールの熱源などに利用されています。

焼却灰の溶融

焼却灰は灰溶融施設でスラグ(砂状のかす)とメタルに分類、それぞれ有効利用しています。

不燃ごみ・粗大ごみの中間処理過程で回収される資源

破砕した不燃ごみからは、鉄、アルミニウムを、破砕した粗大ごみからは鉄を、それぞれ有用な資源として回収、再利用しています。

中間処理

収集回収された一廃を埋立処分する前段階までの処理のことで、「可燃ごみの焼却処理、不燃ごみや粗大ごみの破砕・選別、焼却灰の溶融処理」などを中間処理といいます。



清掃一組が行う中間処理は、23区の区民約850万人が排出する家庭ごみと事業者から排出される事業系一廃ごみが対象になります。

2006年度に排出されたごみの分別状況を見ますと、区収集の可燃ごみが約165万トン、事業系一廃ごみが約12万トン、不燃ごみ(生ごみ、紙類、木や草類など)で、廃プラスチック類が約59%を閉めています。この大半が最終処分場に埋め立てられているわけです。

サーマルリサイクルが本格実施されますと、不燃ごみの17%と58%分を合わせた80%弱が資源ごみや可燃ごみとして処理されるわけですから、2009年度以降には廃プラスチック類の埋立ゼロが期待されます。(円グラフ)



●サーマルリサイクルによって予測される効果と課題

23区のごみを処理するには、当然のことながら費用(税金)が必要です。この費用が、廃プラスチック類のサーマルリサイクルを導入することによってどのようになるのか──小林総務部企画室長によりますと、「あくまで試算した数字だ」とした上で、可燃ごみの処理の費用は廃プラスチック類が加わることによって約7億円の増、反対に不燃ごみの処理費用は処理量が減ることにより約38億円の減、埋立処理委託費用については、埋立量が減少するため約10億円の減、サーマルリサイクルによる発電量の増によって電力会社に買い取ってもらう分として約11億円の収入増になります。この結果、年間で約52億円の費用が節約されるとの見通しを示しました。

もう一つの効果は、温室効果ガスが微増で済むという見通し。清掃一組の一般廃棄物処理基本計画のごみ量推計を元に実施前後(試算)を比較したもので、数字は、「現行(2007年度)」→「サーマルリサイクル実施後の試算」として表示しました。

可燃ごみ量が289万トン→315万トンに増、不燃ごみ量が59万トン→21万トンへ、可燃ごみ中の廃プラスチック割合が6.08%→10.21%に増、可燃ごみ中の廃プラスチック量が17万5000トン→32万1000トンに増、二酸化炭素の発生量が50万トン→66万3000トンに増、との試算になるそうです。

また、環境への影響については、サーマルリサイクルによってメタンガスなどの発生が抑制されて約9.6万トンを削減、発電した電力を電力会社に買い取ってもらうことで電力会社が発生する二酸化炭素を間接的に削減する効果が約6.3万トンで、廃プラスチック類を可燃ごみにすることで発生する二酸化炭素の量は2007年度比で約16万6000トン増えますが、結果的に約7000トンの微増にとどまるとの見通しです。

では、課題はなにか。

小林総務部企画室長は、「清掃事業が東京都から23区に移管されたとき、その合意事項の中に“最終処分場の延命化と新たに処分場を確保する場合は、23区が責任を持つ”との文言が明記されている。この対応のために23区の助役会が開かれ、まとめた報告書には、“廃プラスチック類の発生抑制、マテリアルリサイクルの推進、サーマルリサイクルの導入などによって最終処分場の延命化を図る”としたものの、“新たな処分場の確保は極めて難しい”とも付け加えている。これが大きな課題だ」とした上で、次のようにまとめてくれました。

「廃プラスチックのサーマルリサイクルについては、一部には反対の意見をお持ちの方もいますが、各区で行われている説明会や実施確認結果の公表などを行うことで区民の皆さんの理解と協力が得られてきているものと思っている。また、廃プラスチックのリサイクルだけでなく、ごみの分別や処理についても感心が高まり、実情を理解しようと、清掃工場へ見学に来られた方も多い。廃プラスチック類の埋立量ゼロに近づけていくことを目指すには、多くの区民の方々の理解と協力がその推進力になる。限りある最終処分場の延命化を図ることが何より重要な課題だ。都市機能を維持するために、今後も足踏みすることなく努力する必要がある。」

小林総務部企画室長の語る言葉の裏側には、区民、行政、清掃一組が連携することによって循環型社会づくりが可能になる、との強いメッセージが込められていることを感じました。

▲ページの先頭へ

東京都港区取材レポート
排出プラスチック類全てを区が回収
─資源化リサイクルとケミカルリサイクルの2ルート確立へ─
港区
人口  約20万人。
オフィスビルが集中するという地域特性があり、昼間人口が多い。
モデル地域を設定して、分別収集や運搬の作業効率化の検証を実施中。モデル地域の人口は約4万人で1万4千世帯が対象。
●PETボトルを除く全てのプラスチック類を資源として回収
 ─10月1日から

プラスチック製容器包装材(「プラマーク」がついたもの)はもちろん、その他のプラスチックについても「資源プラスチック」として一緒に回収することにした港区。

港区では、「プラマークのあるなしに関わらず、プラスチック類全てを資源として回収するという点が、他の区と大きな違いだ」と強調しています。今まで不燃ごみとして扱ってきたプラスチック類を、国や東京都の方針を踏まえ、まずはリサイクルできるものはリサイクルをする、これが港区の新しい仕組みです。

家庭から排出される不燃ごみの中身の多くは、容器包装リサイクル法(以下「容リ法」と略)に適合するものですが、区民の立場からすると、今以てどれが容リ法に適合したプラスチック廃棄物か分かりにくいという現実があります。

そこで、排出されるプラスチック類を容リ法上の適不適に関わらず、資源として全部まとめて回収した方が、より一層の分別の徹底、ごみの減量につながる、また、区民が協力しやすい分別となり、ごみ収集量の削減となるというのが、基本的な考え方の下敷きになった、とのことです。

さらに、「モデル地区の区民には、多少の負担をかけるが、残り水で軽く洗うか拭き取ってもらうなどの協力をお願いしている。“分ければ資源、洗えば資源”をキャッチフレーズに、分別の徹底を呼びかけていると強調しました。

では、その分別収集したプラスチック類はどのように処理されるのか。港区によりますと、中間処理施設に搬入したあと手選別し、容リ法ルートに乗せる資源と独自ルート(容リ法以外のルート)に乗せる資源、の2通りの方法を採用しており、今年10月1日から本格実施する方針です。

●分別の必要性、子どもにも理解しやすいツールを企画中

モデル地区での現在の状況は、目標数値に対しては横ばいか若干上回っている状況のようですが、30年以上にわたってプラスチック類を不燃ごみとして分別してきた生活習慣が根強く残っているせいか、区民の側からすると戸惑いもあるようです。

「分かりにくい」「どれだけきれいにすればいいのか」などの質問が未だに出るそうですから、ごみの分別問題、腰を据えた辛抱強い対応が必要のようです。

港区は、2007年の夏からモデル地域を設定した上で説明会を開催してきましたが、それでも情報が容易に伝わらない地域もあったとのこと。排出するプラスチック類をイラストで表現していたため、モデル地区の住民の中には判断に迷うケースもあり、排出物の現物をカラー写真で掲載するなどの変更をしたところ、「分かりやすい」という反応が返ってきました。

さらにきめ細かい対応として、親子リサイクル施設見学会やチラシ、パンフレットなどの配布も企画しているということです。

区内全ての住民に知ってもらう、理解してもらう、その上で協力してもらう、これが新しい分別区分の施行には欠かせません。

このため、今年10月からの本格実施までに住民説明会、個別説明会はもちろん、チラシやポスター、イベントでの啓発物など、あらゆる伝達手段を使って周知徹底に努めるとしています。

分別区分は、資源プラスチック、資源、可燃ごみ、不燃ごみの4種類(分別表参照)ですが、何といっても種類の多いプラスチック類を全てまとめて排出、それを回収するという点が大きな特徴です。

2008年10月1日からの「ごみの分け方」

資源プラスチック

チューブ類、シャンプー・洗剤などのボトル類、キャップやふた類、緩衝材やケース、フィルムや袋類、パックやカップ類、トレー類、その他のプラスチック類(歯ブラシ、バケツ、洗面器など)他。 <出し方>食べきって(使い切って)、汚れを落とし、中身の見える袋に入れて出す。

資源

PETボトル、新聞・段ボール・雑誌・雑紙、紙パック、びん、缶。

可燃ごみ

生ごみ、紙くず、ゴム・皮革製品、汚れが落とせないプラスチック類、衣類・紙おむつ(汚物除去)など。

不燃ごみ

陶磁器・なべ類・刃物類(新聞紙などに包んで「危険」と表示)、金属製品・かさ、アルミホイール・電球・電池・蛍光灯、スプレー缶・ライター(必ず中身を使い切る)、30センチ未満の小型家電品など。

●今後状況分析や検証も必要

港区内には中間処理施設がないため、区外の施設に委託しています。収集した資源プラスチック類はこの施設に搬入され、手選別によって容リ法ルート向けと独自ルート向けに分け、搬出しています。

硬質プラスチック類やプラマークが不明なプラスチック類は、独自のルートにより、再商品化事業者の工場で、(ケミカルリサイクル)によって化学原料を回収します。

モデル地域での分別、運搬、中間処理などに関わるコストは若干増える見通しですが、現在までにデータが揃っていない状況のため、公表はもう少し先になりそうです。

いずれにしても、港区は循環型社会形成推進基本法の主旨にのっとり、3Rの施策を推進し、「区民に対しては、使用済みプラスチック類を洗浄、分別してもらい、資源として再利用することを強調している。また、資源化できないプラスチック類は、可燃ごみとして適正に処理することになる。各区は、ペットボトルをのぞくその他プラスチックについては、各区事項として、それぞれ創意工夫により再生利用の推進に取り組んでいます。

港区と同じような特性を持つ区もあり、費用対効果、二酸化炭素対策などの面で、公開されたデータに基づいた比較議論や環境保全論が、ここ数年の間に活発化しそうです。

▲ページの先頭へ

東京都世田谷区取材レポート
資源以外のプラスチック類を熱エネルギー源に 世田谷区
人口  約84万人(うち大学・短大の学生が約8万人)。
世帯数  約43万。
ごみ集積所  約5万5000個所。
モデル収集地区  人口の約10%で、世帯数は約4万3000。
事業所  大企業から個人経営までを含めて2万数千、このうち商店が約1万。
●きめ細かな収集ルートが資源化を支える

世田谷区の特徴は、人口、世帯数とも大きく、住宅地を核にした都市型とも言え、事業所は2万を超えるものの、約半分が商店という特性を持っていること。

この環境が、家庭から排出されるプラスチック類を取り巻く政策に大きく影響を与えているそうです。

1999年から2000年にかけ、ごみの量が減少したのに対して、資源ごみが大幅に増えるという状況になりました。清掃事業が東京都から各区へ移管されたことにタイミングを合わせる形で、資源ごみの分別回収を強化したことが背景にあります。

当時の状況を数値化しますと、資源ごみの回収量は約2.5倍に増え、ごみの量は15%ほど減少したとのことですが、その後人口は増えたにも関わらず、依然ごみの排出量は減少傾向を示しているそうです。

リサイクル率は約20%、1人当たりのごみ排出量を東京23区の平均と比較しても5%ほど少なく、区民によるごみ減量努力がこの成果につながったと言えます。

これを支えるのが、集団回収、分別回収、拠点・店頭回収の3ルート方式で回収していますが、このうち、分別回収は区が行っており、その資源回収量全体に占める割合は約90%。この割合を少しでも集団回収へ移行するため、2005年度から区民に対する協力の呼びかけを強化したところ、2006年度には前年度比で約500トン増加するという効果が得られたとのことです。

3ルートによって回収するのは、古紙、ガラスびん、缶、布類、PETボトル他(牛乳パック、乾電池、廃食用油を含む)、食品トレーなどですが、汚れのひどいPETボトルについては現在は不燃ごみ扱いだそうです。

3ルートある回収方式のうち、現在注目されているのが拠点・店頭回収。スーパー、コンビニ、酒販店などのほか公共施設でも袋やボックスを設置し、PETボトル、牛乳パック、アルミ缶、食品トレーなど資源物を対象に回収しており、区内全域に及んでいるのが大きな特徴です。

資源の回収方式

分別回収

集積所からの回収で、区が行っている。古紙、ガラスびん、缶など。

集団回収

町会、自治会、PTA、高齢者クラブなど区民主体の回収で、区は支援金で援助。古紙、ガラスびん、缶、布類。

拠点・店頭回収

スーパー、店舗店頭にボックスや袋を設置して回収しているが、一定部分について事業主に負担してもらっている。PETボトル、トレー、牛乳パック、アルミ缶などで、店舗が回収するほか、一部の収集運搬は区が実施。 一部の公共施設でも、PETボトル、トレー、牛乳パック、乾電池、廃食用油などの回収を行っており、収集運搬は区が実施。

 店舗での資源回収  (回収ボックスが並んで設置されている写真)

広報せたがや「2008年度からのプラスチック類の出し方」──2007年5月27日号
(写真)

また、埋立ゼロ方針に基づいて、今までのような「家庭ごみの出し方」を改め、「分別区分変更」という表現に統一し、予定している本格実施を前に、この区分によって2007年度の7月からモデル地区での収集を開始しました。

東京二十三区清掃一部事務組合では、世田谷区内に2つある清掃工場のうち1つを使い、モデル地区で収集したプラスチック類混入の可燃ごみを焼却して実証確認を行ったところ、排ガス、排水、焼却灰、汚水処理では測定実施前と比べて変化はなく、大気の状況もほとんど変化はなく、いずれも環境への影響は極めて小さいという結果を得たものの、老朽化のために建替え工事をしたもう1つの清掃工場が今年3月に竣工、現在実証確認中とのこと。

全てのデータについて安全確認を終えた段階で区内全域実施の告知をすることにしていますが、今のところ今年の10月1日の実施を「予定」としているのは、このような事情のためだそうです。

●容リ法にとらわれない枠組みづくりも必要ではないか

2007年度に行ったごみの組成調査では、不燃ごみの組成はプラスチック類が64%と最も多く、次いでびん類が5%、缶類以外の金属類が5%弱、またごみの中に占める資源化可能なごみの混入割合は可燃ごみで約24%、不燃ごみで約19%だったそうですが、新しい分別区分変更で大きく変わるのがプラスチック類。

リサイクルを可能な限り進めた上で、今まで不燃ごみ(2006年度の収集量は約45000トン)として分別、埋め立ててきたプラスチック類を可燃ごみ(注を参照)に変更し、熱エネルギーを有効に利用するという点です。

この分別区分変更に対する基本的な考え方ですが、世田谷区清掃・リサイクル部は次のように説明しています。

「どこの区でも大同小異だと思うが、大量リサイクルはしたくない。リサイクルするのは最後の1歩あるいは2歩手前の段階であって、その前に是非買い物袋を持参し、レジ袋はもらわない、再利用できる容器類は再利用してほしい、詰め替え商品に目を向けてほしい」

「容リ法の枠組み(分別リサイクルの推進)の中では、収集運搬、中間処理(異物除去、圧縮梱包)は行政の役割だが、中間処理施設の建設は用地取得の点で非常に難しいため、区内の民間施設だけでなく、隣接区を含めて資源化ルート構築の調査を行っている。しかし、当該区との協議が整わないと搬入はできない。相当の遠距離輸送もやむを得ないということになった場合、そのコストや環境負荷を考えると果たして得策か、という視点も重要になる」

と話し、続けて、

「その上で、現段階でリサイクルルートが確保されているものについてはフルに活用し、それが困難なものについては、分別区分変更によって、これまでの不燃ごみ扱いを可燃ごみに変更して清掃工場に搬入し、熱エネルギーを回収して発電や温水プールなどに利用する。この優先順位に関しては、東京都の方針と全く変わっていない。世田谷区は人口が多いため、この分別区分変更による効果は大きくなる」

さらに、

「東京23区が、容リ法に基づいた分別収集に関するコストの負担を考えると、二の足を踏むケースもある。自治体の役割分担以上の業務が発生した場合、そのコスト負担増に区民はどう反応するかも問題だ。現段階で資源化ルートが安定した形で確保できているのは発泡トレーで、PETボトルは今秋までには目途がつくと考えている」

とのことですが、世田谷区は今年10月1日から全区で新しい分別区分変更による収集運搬の本格的開始を予定しています。

この分別区分変更、一般の区民を対象にするのは当然ですが、あまり知られていないのが区内に住む大学生や短大生約8万人への対応。出身地でのごみ分別と異なり戸惑っている学生がほとんどのため、区内にある大学や短大で行われる新入生オリエンテーションなどにゲストティーチャーを派遣、ごみの分け方・出し方を解説した生活便利帳の配布と説明を行っているそうです。地味な活動ですが、毎年続けているそうで、これらの努力もごみ分別の下支えになっているようです。

もう一つ、関心の高まっているのが「世田谷環境大学連合」を昨年立ち上げたことです。呼びかけたのは武蔵工業大学の中原教授。区内の12大学・短大と2学部(文理学部、商学部)が、世田谷区と連携してレジ袋などの削減を含めて環境保全に取り組んでいるとのことです。

(注)
「不燃ごみ」から「可燃ごみ」に変更になるプラスチック類は、チューブ類、弁当容器、カップ類、菓子袋、ネットや発泡スチロール、レジ袋、ラップ類、ラベルやキャップ類、シャンプーや洗剤などの容器、レトルト食品の包装やラベル・フィルム類、プラスチック製のおもちゃ、写真のネガやフィルム、ビデオテープやCD・MDなど、その他のプラスチック製のもの、など。

●分別区分変更の実施体制には区民の意見を反映する

モデル地区による収集運搬を始めるに当たり、各地区で説明会を開きながらアンケート調査を行いましたが、意見はさまざまです。

「ごみの分け方が分かりやすくなった」「プラスチック類は全部焼却処理したほうがいいのではないか」「プラスチック類はできるだけリサイクルすべきだ」など評価する意見、一方「今まで分別してきたのに、分けないで一緒に出して、と言われても、頭の切り替えがスムーズに行かない」「PETボトルとトレーの分別や出し方が分かりやすい形で広めてほしい」という意見などがあって、どの方向に集約するか検討中とのことです。

しかし、中には「プラスチック類を燃やしても大丈夫か」とい不安含みの意見も出されたようです。長年にわたって不燃ごみ扱いをしてきたことに起因する意見でしょうが、現在の高い技術水準による設備では全く問題はないとのこと。

アンケートの結果では、理解は得られたと受け止めているものの、残念ながら大半とは言えないため、本格実施までにはさらに周知への努力を重ねる必要がありそうです。

「総花的なPRではなく、テーマと問題点を絞り込んだ広報のあり方を早期に具体化し、分かりやすい情報提供を心がけてほしい」

これが集約した区民の意見です。

分別区分変更によるモデル地区での収集   (写真)

●課題は、製造する企業と回収する自治体が同じテーブルで向き合うこと

分別区分変更の方針が決まってから以降は、予告、説明会、分別区分変更の必要性、処理の優先順位などの対応が中心でした。今年4月から9月までは、さらにきめ細かい情報、つまり保存版の全戸配布、分別区分変更の実施開始の告知、収集日カレンダーの全戸配布、リユースできるものは積極的にリユースするなど、具体的な内容を盛り込んだ印刷物にする計画です。

ところで、この分別区分変更によるコスト面の問題ですが、「可燃ごみは従来通り週2回の回収を予定しているが、不燃ごみは量的に減る可能性が大きく、週1回だった回収を月2回に減らすことでコスト減になる見通しだ」そうです。

「容器類の製造企業は、我々にはうかがい知れない苦労を重ねているだろうが、逆に製造企業は分別区分をする自治体の苦労について理解できないところもあるだろうと思う。相互の理解を促進するためにどのようなテーブルが必要かを、考える時期に来ているのではないか」

このように締めくくりました。

▲ページの先頭へ

[ ひとつ戻る ]