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2003年8月掲載
コンパクトで、クリーンな
PETボトルのマテリアルリサイクル工場
ジャパンテック(株)宇都宮工場
「まず、消費者に工場を見てほしい」
 PETボトルの回収(飲料用、しょうゆ用、酒類用)が始まったのは1992年10月からでした。このPETボトルが容器包装リサイクル法(以下「容リ法」と略)の対象になったのは1997年。
 前年の96年の回収量が約5000トン(生産量約17万3000トン)だったのに対し、施行初年度は4倍増の約2万1400トン(生産量約21万9000トンで回収率9.8%)に、そして2001年には約16万1700トン(生産量約40万2700トンで回収率40.1%)、2002年では約20万トン(生産量約43万3000トン、回収率45.9%)の達成が見込まれています。
 この実績を下支えしているのが、多くの自治体の協力と(財)日本容器包装リサイクル協会(指定法人)、および同協会に認定されたPETボトルのリサイクル事業者(再商品化事業者)です。
 今回は、クリーンさ抜群で、しかもコンパクトな施設ながら、消費者に顔を向けることを企業姿勢としてPETボトルの再商品化(年間約1万5000トンの処理能力)に取り組んでいるジャパンテック(株)の古澤栄一社長を取材、その要旨をまとめました。

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消費者に見せる、見てほしい工場づくり
 ジャパンテック(株)は、宇都宮市の南西に位置する栗野町に設けられた宇都宮西中核工業団地内にあり、周辺にはゴルフ場が点在するなど緑豊かな環境の中に立地します。

 設立は1992年(平成4年)で、壬生町で操業を開始しましたが、その後宇都宮西中核工業団地に進出、新設工場を稼働させたのは2001年(平成13年)のことです。
 「リサイクルとは、ごみ処理ではありません。もともと地球資源から作ったものを何回も地球資源と同じ状態に戻して利用する、つまり資源を利用して製造した商品を、使い終えたらまた資源と同質の原料に戻すという製造工場です。それでいて環境に違和感を与えないよう設計を工夫した」と古澤社長は強調しました。
 ごみ処理工場ではなく、資源製造工場だという考え方です。事実、原料を製造しているにもかかわらず、立地環境にマッチした工場の在り方を社会に提案した具体的事例と言っていいかもしれません。
 その在り方の内容は、リサイクル処理工程に伴う騒音、大気汚染、リサイクル原料の洗浄用水の処理など、いわゆる二次公害要因を全て工場内に封じ込めて処理、工場周辺環境に対して一切負荷を与えないようきめ細かい配慮をしたことです。

 さらに、工場敷地内はゆとりを持たせ、工場の内外とも清潔できれいな環境を維持することによって地域住民が抱きやすい迷惑施設のイメージを払拭したことも大きな特徴の一つです。さらに、その地域住民をはじめ町民、市民、県民にリサイクル施設とはどのようなものか、リサイクルによってどのような製品に生まれ変わるのか、なぜリサイクルが社会的に求められているのか、などの疑問に答える工場として、また循環型社会形成に寄与する工場としての姿を理解してもらう重要な施設であるとのコンセプトは特筆に値します。
 工場建設前後の状況を、古澤社長はこう説明します。
 「完成前は、リサイクルに名を借りたごみ処理施設を作るのか、と何人かの人に言われました。その人たちに、完成したらまず皆さんを見学のために招待することを約束しました。リサイクル工場で扱うのはごみではなく有用な資源であり、その資源を再商品化原料にする工程を具体的に目で確かめてもらうことが、より理解を深めてもらうことにつながります」
 何よりも先に、工場の施設と処理工程を理解してもらわなければならないのが地域住民であり、町民、市民、そして県民であることを強調したもので、PA手法(一般市民に影響を与えそうな問題に関して理解を得ること)の活用とも言えます。
 つまり、リサイクル工場は消費者に見せる、見てほしい施設、との発想が根底にあります。
 分別回収されたPETボトルが、どのような工程によって処理され、再資源化されるのか、どのような環境の工場によってリサイクルされているのか、を理解してもらう、あるいは家庭から排出する場合になぜ分別する必要があるのかを消費者自身の目で確かめてもらう、そして納得してほしい、との期待と願いが、その根底に込められています。

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工場建設で重要なことは地域住民の
 「理解と安心感」を担保することだった

 リサイクル工場に付きまとう二次公害要因をほぼ完全に封じ込め、環境負荷を限りなく低減しているという点では、国内外で上位にランクされているとのことですが、このことがリサイクル工場にとって名誉なことであり、最も重要な地域住民の「理解と安心感」を担保していると言えます。
 これが情報網を通じて全国に広がり、町内はもちろんのこと、県内の小中学校による校外教育の一環として、また県内外の自治体職員や県市町村議員、お年寄りの団体が生涯学習の一環として、婦人団体や消費者団体、環境保護団体など、多岐にわたる見学者が訪れているそうですが、それだけに「消費者に顔を向けたリサイクル工場」の実像を見せることにこだわった経営であり設備設計とも言えます。

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コンパクトに設計された自動再商品化工程
 家庭から分別排出されたPETボトルは、自治体が収集して中間処理事業者に引き渡されます。ここでさらに選別したあと圧縮減容(ベール)し、リサイクル工場に運ばれます。2002年におけるリサイクル工場は、全国に60社、75工場となっていますが、ジャパンテック(株)はそのうちの1社で、(財)日本容器包装リサイクル協会に認定された再商品化事業者のため、全国の自治体が分別収集するPETボトルに入札(再商品化費用と運搬費)をかけ落札し、引き取って再商品化しています。
 宇都宮西中核工業団地の同社宇都宮工場(本社工場)に搬入される荷姿はベール(圧縮減容梱包)で、ベールを解いたあと再商品化工程に投入されますが、コンパクトで最新鋭の設備によって24時間稼働にも対応しているため、PETボトルの再商品化能力は1日当たり48トン、年間では1万7000トンにもなります。

 しかも、投入してからフレークまたはペレットになるまでに要する時間は15分。24時間稼働時には交代制になっていますが、工場内の人員は11人で、適合ボトルの最終チェック(手選別)以外は全て自動化されているのが最も大きな特徴です(再商品化フロー参照)。

 また、解俵(ベールを解く)後塩ビボトルをX線検査機で除去、着色PETボトルはカメラとエアノズルによる選別装置で除去したあと、粉砕装置を経てラベル類を除去、洗浄して再商品化原料になるフレークやコンパウンドペレットができるまでの工程を完全自動化しているために、効率アップとコストダウンを同時に達成しているのも最新鋭設備ならではの効果です。

 全行程で人手を要するのは粉砕前の手選別による適合ボトルの最終チェックのみで、6人体制で行っています。
 11人中6人を投入するのはいかにも多いのではと思われるかもしれませんが、自動機械選別によって99%の異物を除去、残り1%を人手によって最終チェックする理由は、再商品化原料がベルトコンベア上を流れていくその先に、純度の高いフレークやペレットを引き渡す「お客様」の存在があるからだ、と説明しています。

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「再生利用」を理解してもらうのに時間がかかった
 協栄産業(株)は、1985年(昭和60年)、栃木県小山市に設立され、産業廃棄物として排出されるプラスチック類のマテリアルリサイクルを事業内容としてスタートしました。しかし、決して早いほうではなく、むしろ業界の中では後発企業でした。
 その当時のごみ処理を取り巻く状況は、廃棄物埋め立て用地の確保難、焼却処理量の増加による環境負荷など、社会問題化するであろうことばかりでした。中でも、特に塩ビを含む廃プラスチックの処理が問題視されていたことから、有限である石油資源を利用して製品化したものを、多少のエネルギーを使ってでも可能な限り「再生利用」(当時の表現。現在はリサイクルまたは再商品化)することによって石油資源を将来にわたって温存することが重要な社会的課題でもあったのです。
 協栄産業(株)をその時期に設立したのは、この課題解決の一部を担うこと、「再生利用」品の市場を活性化させること、という目標があったからです。しかし、後発企業だけに、訪問先企業の対応は厳しいものでした。
 企業訪問を重ねるうちに使用済みPETボトルが回収されたまま倉庫に眠っている現実に出会い、質的に純度の高いPETボトルを「再生利用」する、「廃棄物を資源化」することこそ企業設立の目的であることを説き続けたことによって、ようやく理解され始めました。

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ジャパンテック(株)の経営母体は協栄産業(株)
 一方、京都議定書が採択(1992年)されました。環境負荷低減が世界各国に共通した努力目標になり、地球環境保全はグローバル化したのです。
 20世紀の動脈産業の時代から、21世紀は動脈産業と静脈産業が共存する時代へと移り変わり、中でも静脈産業の代表格ともいえる資源再商品化事業が今まで以上に注目されることは間違いありません。
 ジャパンテック(株)は、協栄産業(株)が18年間にわたって蓄積したマテリアルリサイクル技術とノウハウを母体にしてスタート、容リ法に基づく認定工場にも指定されました。自治体が回収するPETボトルの再商品化を専門とする工場でありながら、二次公害発生の抑制、クリーン性の維持、最新鋭設備の投入によって1日48トンの再商品化原料を生産するのに僅か11人体制(11人の交代制)で対応するなど、自動化によって極限まで生産効率を高めていることが、全国から注目される要因だったようです。
 しかし、マテリアルリサイクルだけが優先されるべき技術だとは考えていないとのことですが、その意味は、ケミカルを柱とした企業はケミカルリサイクルの技術開発を得意としているはずですし、分子やモノマーにまで戻してから重合を重ねるというリサイクルがあって当然です。その他、高炉還元剤や熱回収というリサイクル手法などもありますが、要はリサイクルという概念を社会にしっかり定着させることが何より大事なことなのです。

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市場は創られるのではなく、創り出す
 PETボトルのマテリアルリサイクルは何回くらいできるのか、という質問をよく受けますが、極端に言えば物性(IV=0.8)を上げれば何回でもリサイクルできます。これはケミカル分野のリサイクル技術になりますが、リサイクル原料としてのPETボトルは、1回加熱するごとに約10%ずつ劣化するため、物性を上げる工程、つまり重合工程を加えることで物性が0.7あるいは0.6に下がったものを、元の0.8に、あるいはさらに高物性の1.0とか1.1に上げることが可能で、これが何回でもリサイクルできる理由です。
 このようにPETボトルのマテリアルリサイクルは、社会的に認知された手法と言って良いと思いますが、同時に用途開発も一層進めなければなりません。しかし、新たに用途開発した製品をリサイクル市場に投入しても、市場が受け入れなければ価値が生まれないという問題もあります。用途開発の難しい側面です。
 ジャパンテック(株)の場合、今後とも増加し続けるであろう回収PETボトルを再商品化することは当然として、同時に用途開発への取り組みも欠かせない課題です。再商品化原料の供給先は繊維分野、シート分野、コンパウンド原料分野が多いことから、蓄積してきたノウハウや技術、あるいは情報を付加することによって供給先との用途開発を積極的に進めているそうです。市場は創られるのではなく、創り出すものとの意気込みが感じられました。

 製品としては梱包用バンド、排水溝用の蓋、消費者の身近なものとして挙げられるのが衣類、バッグ類、カーペット類、文具メーカーと協同開発したボールペンの軸やブックスタンド、名刺印刷用紙、果物パック、卵パック、小中学生の制服などで、今後新しい分野として期待できるのがOA機器、自動車用部品への利用で、現在研究開発が進められているとのことです。

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業界内に再商品化原料=資源再利用
 という意識が高まってきた

 このように、PETボトルのマテリアルリサイクルを底辺から支えているのが、消費者の分別排出に対する理解と、自治体による広報、そして小中学校での資源再商品化に関する指導と教育の効果が大きく、混入異物が少なくなっているなどコストアップを抑えられる大きな要因だと分析しています。
 また、2001年4月の法改定で、ラベルにミシン目を入れることによって除去が容易になったことも功を奏しているとみています。
 こうした支えによって、PETボトルの再商品化工程でのロス率は、以前の35〜40%に対して現在は20〜30%になっているそうです。これに呼応して、業界内の変化も目立ってきました。今までは再商品化原料=コストダウンという考え方が強かったのに、最近では再商品化原料=資源再利用という認識、つまり価格にとらわれない取引に変わってきているとのことで、古澤社長は「大事なうねり現象であり、さらに大きなうねりにするためにも、PETボトルのマテリアルリサイクルを一層発展させなければならないし、活力ある市場に育てる必要があります」と強調しました。
 にもかかわらず、社会や業界によって支えられている再商品化事業者や再商品化製品利用事業者が、事業から撤退するというようなことが仮に起きるとすれば、業界にとって大きな損失になることは間違いありません。また、再商品化事業者は再商品化委託料を受け取れますが、再商品化製品利用事業者(最終製品加工事業者)への委託費用の支払いのないことも業界にとって課題の一つです。
 では、この両者を結ぶ絆とは何か、といいますと、再商品化原料の引き渡し価格に左右されずに、バージンに劣らない再商品化原料を供給する、厚い信頼関係を構築する、その上で共存共栄の精神を確認し合うことが何よりも重要なことだと指摘しました。

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ベールのランクを廃止して入札の効率化を促進
 昨年まで、自治体による回収PETボトルには、Aランク(良いベール)、Bランク(やや良いベール)、Dランク(改善の必要があるベール)の3ランクに分類されていました。しかし、これではDランクのベールに対する入札はしにくいということで敬遠されてしまったのでは、自治体として努力しているのに、それが認められなければ指定法人に加盟している必要はなくなる、と考えてもやむを得ないことです。
 PETボトルのマテリアルリサイクルは、自治体の参加があって成り立っているだけに、社会的システムとしてのリサイクル推進に支障を来すことになります。
 そこで、このランク付けは2003年から廃止され、異物混入への対応は再商品化事業者が積極的に行うことになりました。
 このように、容リ法に基づくPETボトルの回収は自治体によって行われていますが、中にはコンビニやスーパーと自治体が提携して回収している例もあります。しかし、多くのコンビニやスーパー、あるいはJR各社、道路公団などは独自に分別回収しているのが現状です。
 古澤社長はこの現状について「コンビニやスーパー、あるいはJR各社、道路公団が(財)日本容器包装リサイクル協会に加盟できるような容リ法になることを期待したい。そうすれば、回収PETボトルのリサイクル率は格段に向上するし、PETボトルのリサイクル業界のほか市場も含めて活性化されるはずです」と取材を締めくくりました。

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会社概要
所在地本社・宇都宮工場
 栃木県上都賀郡栗野町深程990-30
栃木工場
 栃木県下都賀郡壬生町壬生乙4038
資本金1,000万円
代表取締役古澤栄一
設 立1992年11月
面 積宇都宮工場 17,888m2
栃木工場 1500m2
再商品化能力宇都宮工場 15,000トン/年
栃木工場 1,500トン/年

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