市原・袖ケ浦少年少女発明クラブで当協会が出前授業 ~住友化学の地域貢献活動に協力~
2002年4月に発足した「市原・袖ケ浦少年少女発明クラブ」は、小中学生を対象に「なぜ? なに?」といった疑問に本物の科学で応えることによって、児童生徒のやる気を引き出す活動を通し次世代を担う子どもたちの育成を目指すもので、地域社会貢献活動の一環として、住友化学株式会社千葉工場が全面的にバックアップしています。同クラブのカリキュラムは、木、金属、プラスチックなどの素材を変えた工作実習や理科実験を主体として「つくる」喜びを引き出そうというもので、子どもたち一人ひとりの個性と無限の創造力を培うことを目的としています。
本年7月、市原市立姉崎小学校で「市原・袖ケ浦少年少女発明クラブ」が開催され、当協会もこれに協力し出前授業を行いました。参加者は約40人で、出前授業は今年で9回目となります。
出前授業ではまず、プラスチックとリサイクルについての講義の後、実験に取り組みました。実験では、リモネンを使っての発泡スチロール溶融、エタノールを使っての発泡スチロール原料(ポリスチレン)分離、発泡剤(アセトン)を使ってのポリスチレン再発泡をそれぞれ行い、98%が空気である発泡スチロールのリサイクルの仕組みについて確認しました。次に、PETボトル細片から綿を作る実験をそのための装置組み立てから行い、PETボトルが綿・繊維にリサイクルされる過程を体験しました。最後にポリスチレンカップに絵を描き、オーブントースターで加熱して自分だけのキーホルダー(マイキーホルダー)をつくりました。
「市原・袖ケ浦少年少女発明クラブ」は、地域密着型の学びの組織として、市内外の教育関係者、地元の方々からの信頼も厚く、高い評価を得ています。地元メディアからも注目されており、毎年取材を受けています。
入会希望者は毎年多数にのぼり、「おにいちゃん、おねえちゃんがやっていたから、ぼくもやりたい、わたしもしたい」ということで、兄弟姉妹が続けて入会を希望してくることも珍しくありません。またこのクラブでの経験によって理科が大好きになり理系の学校へ進学することを決めた子も多くいます。さらに、卒業生が指導員としてクラブ活動に参加してくれるなど、クラブと卒業生との間には強いつながりがあります。
当協会としても、「市原・袖ケ浦少年少女発明クラブ」の活動に今後もできうる限り協力していければと思っています。
■市原・袖ケ浦少年少女発明クラブ
http://hirayama-a.com/hatumeiclub/index.html
■住友化学株式会社
http://www.sumitomo-chem.co.jp/
■一般社団法人プラスチック循環利用協会
http://www.pwmi.or.jp/
東ソー・大洋塩ビブースでオリジナルキーホルダーづくり ~四日市こども科学セミナー~
本年8月6日、四日市こども科学セミナー・パート3として「実感サイエンス ものづくりのまち四日市」が市文化会館で開催され、市周辺のものづくり企業展示のブースにおいて、午前と午後それぞれ3回の入替制で、子供たちが科学実験を体感しました。例年ハイレベルな実験ができることもあって大人気のイベントで、今年も抽選で選ばれた約500名の子供たちが参加しました。
「四日市こども科学セミナー」は、市教育委員会が主催し、四日市大学が後援、宇宙航空研究開発機構(JAⅩA)や四日市市内企業が協力して毎年開催されており、今年で4回目になります。
今回のセミナーには当協会の会員である東ソー株式会社、大洋塩ビ株式会社、三菱化学株式会社が出展しており、東ソー・四日市事業所の単独ブースでは、化学に興味をもってもらおうと同社製品の重曹を使ったオリジナル入浴剤づくりを、また、三菱化学・四日市事業所のブースでは、古くて新しい素材として「炭素」をとりあげて木炭電池による発電実験を行いました。
当協会は、東ソーと大洋塩ビ共同で設置したブースに協力し、ポリスチレンカップを使ったオリジナルキーホルダーづくりを行いました。
まず大洋塩ビ担当者が塩化ビニルとその製品の概要説明を行ってから、キーホルダー作りにとりかかりました。キーホルダーは、白色の使い捨てポリスチレンカップにマジックで絵、文字をかき、オーブントースターで加熱して作るもので、カップの底部分と側面部分との収縮率に差があるため、描いた絵、文字が変形し、想定外のものとなることが珍しくありません。まさに「私だけのキーホルダー」が出来上がるのです。子どもたちは、オーブントースターで加熱されるとくねくねと踊るように形を変えながら円盤状になっていくポリスチレンカップに驚きの声をあげるとともに、自分だけのキーホルダーを手にすることができて大満足でした。オリジナルキーホルダー作りについては、保護者の皆さん方の関心も高く、ポリスチレンカップが円盤状になる理由、工作の仕方、素材の入手方法など、多様な質問をいただきました。
今回のイベントでは、東ソーOBの方々から多大なサポートをいただきましたが、特にOBの小学生のお孫さんは、自主的にキーホルダーの作り方を小さな子達に教えたりストラップをキーホルダーに取り付ける手伝いをしてくれたりと大活躍でした。
オリジナルキーホルダーづくりについては、新聞各紙(三重県版)、テレビ各局でもとりあげられました。
■ポリスチンカップとマイキーホルダー
今回のイベント協力は、中部地区では初めてのものでしたが、今後も同地区の会員会社と協力して、プラスチックの関心を高め、プラスチックとそのリサイクルにかかる正しい知識の普及を図っていきたいと考えています。
■四日市こども科学セミナー
http://www.y-kodomo-kagaku.com/
■東ソー株式会社
http://www.tosoh.co.jp/
■大洋塩ビ株式会社
http://www.taiyo-vinyl.co.jp/index.html
■一般社団法人プラスチック循環利用協会
http://www.pwmi.or.jp/
PETボトルのバリア性進化、ビール容器として採用 ~三菱樹脂~
従来のPETボトルと比べて酸素や炭酸ガスのバリア(遮断)性を向上させた三菱樹脂株式会社の「ハイバリアPETボトル」(写真上)が、キリンビールの会員サービス用「できたて生ビール」直送容器として採用されました。ハイバリアPETボトルは、すでにワインや清酒では使われていましたが、ビール容器に採用されるのは初めてです。
ハイバリアPETボトルは、キリンが特許を持つDLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)膜コーティング技術(PETボトル内を真空状態にして発生させたプラズマにより薄い炭素膜を内面に蒸着させるもの)を用いてボトル内面に特殊な炭素膜を形成したもので、従来のPETボトルと比べ、およそ酸素で10倍、炭酸ガスで7倍、水蒸気で5倍のバリア性能を有しています。これにより、中味の品質劣化を大幅に抑制し、美味しさや風味を保つことができるようになりました。
ところでビール瓶は、大敵の紫外線を遮断するため通常茶色仕様ですが、ハイバリアPETボトルは、リサイクルの観点から、透明・無着色なものとなっています。そもそもハイバリアPETボトル自体、酸素や二酸化炭素、光のバリア性が高い上に、光を遮断する専用パッケージ(写真下)に入れられて配送されるので、透明・無着色であっても何ら問題がないのです。
三菱樹脂によれば、今後、内容物によって製膜条件をカスタマイズし、内容物個々に最適なハイバリアPETボトルを提供していきたいとのことでした。
さらにハイバリアPETボトルは、軽重量で持ち運びやすいため、輸送時の燃費削減につなげることができ、二酸化炭素排出量削減の面からも大きな貢献も期待できます。
ハイバリアPETボトルの機能性は進化し続けており、今後も食品のみならず医薬品など様々な分野での一層の活用が想定されています。
(出典:三菱樹脂(株)/ http://www.mpi.co.jp/news/201508180793.html)
■三菱樹脂株式会社
http://www.mpi.co.jp/
しょう油容器の革命的な進化はプラスチックの機能性向上のたまもの!?
数年前までしょう油容器といえば、多くはPETボトル1リットル入りのものでしたが、最近、「新鮮さ」や「生」、「色」、「うま味」、「香り」などをセールスポイントとする小容量のものを見かけるようになりました。しょう油は、開栓直後はおいしいのですが、日時が経過するにつれて風味、味わいがどんどん失われていってしまいます。これは空気に触れると酸化が起きるためでこれをどう防ぐか、遅らせるかが長年の課題でした。
2009年8月、ヤマサ醤油株式会社から酸化防止機能を持たせた容器を使用した商品が発売されました(写真上)。これは株式会社悠心(新潟県三条市)が開発した「注ぎ口に逆止機能を備え繰り返し使用しても空気が入らない容器」(PID:Pouch in dispenser)を使用したものです。PIDは、しょう油を注ぎ終えると薄いフィルムになっている注ぎ口が閉じ容器内に空気が入りにくくするという特殊な構造(逆止機能)をもっており、酸化を大幅に軽減することができます。この結果、開封後使い切るまでくり返し注いでも鮮度、味わいを保てるようになりました。この容器は、11年に公益財団法人日本発明振興協会主催の第36回発明大賞「日刊工業新聞社賞」や日本醤油協会主催「日本醤油技術賞(応用の部)」を受賞しました。
一方業界大手のキッコーマン株式会社では2010年に、倒してもこぼれず、横にも置けるキャップ付きのフィルム容器を独自技術で開発しました。さらに11年には、柔らかな密封ボトルを開発し、「いつでも新鮮ボトル」と銘うって発売しました(写真下)。外部容器の内側にフィルム製の袋を収めた二重構造で、逆止弁付きのキャップを採用しています。シンプルで使いやすい点とフレッシュさを保てるデザインとが評価され、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「グッドデザイン賞」を受賞しました。同社の密封ボトル商品の2014年度売上高は11年度比6倍にまで拡大しています。
さらに2013年、前2社とは別のしょう油メーカーが二重構造の押しだし式やわらかボトルを使った商品を発売するなど、ここ数年この市場をめぐって新しい製品が次々と上市されています。
小家族・単身世帯の増加や個食化の進展などに伴い、従来の容量、サイズでの商品では使いきれないということも多くなってきました。一方、新鮮なもの、おいしいものを食べたい、使いたい、提供したいという要望も年々強くなっています。しょう油での酸化防止容器の採用は、このニーズにぴったりと合致したもので、しょう油の新しい市場を生み出すことになりました。そしてそれを強力に後押ししたのがプラスチックの優れた特性と機能だったのです。この新しい市場が更に大きくなっていくのか、あるいは他の商品分野にも応用されて別の市場が誕生していくのかが注目されます。
※写真は、各しょう油メーカーのホームページから採用しました。
■株式会社悠心 http://dangan-v.com/
■ヤマサ醤油株式会社 http://www.yamasa.com
■キッコーマン株式会社 http://www.kikkoman.co.jp/index.html
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