2015.10.15

【上海 第2回目】中国(上海)のプラスチック容器包装について

【上海 第2回目】中国(上海)のプラスチック容器包装について

ごみのルールについて

今回は、上海でのごみのルールについて紹介したいと思います。日本ではごみ出しの分別や日時などのきまりがごみ捨て場に貼り出されていたり、自治体からしおりが配られたりしているところが多いかと思いますが、上海では日常生活ではほとんど見かけることがないため、ごみのルールにはどのようなものがあるのかをインターネット(百度百科)で調べてみました。

まず、中国としては『城市市容和环境卫生管理条例(都市外観環境衛生管理条例*)』(1992年8月1日施行)が定められています。そして上海では、この条例と『上海市市容环境卫生管理条例(上海市外観環境衛生管理条例*)』(2002年4月1日施行)に基づいて、生活ごみの管理推進、都市外観環境の清潔維持、市民の健康保護を目的に『上海市城市生活垃圾收运处置管理办法(上海市都市生活ごみ収集運搬処置管理規則*)』(2008年11月1日施行)を定めています。

また、国で定めた『中华人民共和国固体废物污染环境防治法(中華人民共和国固体廃棄物による環境汚染防止法*)』(2005年4月1日施行)や上述の『城市市容和环境卫生管理条例(都市外観環境衛生管理条例*)』、『上海市市容环境卫生管理条例(上海市外観環境衛生管理条例*)』などの法令法規に基づき、生活ごみの分類・削減の促進と生活環境の改善を目的とした『上海市促进生活垃圾分类减量办法(上海市生活ごみ分類・減量促進規則*)』(2014年5月1日施行)を定めているようです。

 

これらによると、上海ではごみを大きく以下の4つに分類し、居住小区(シャオチュゥ)や企業などの機関ごとに実情に合わせて公共の場所に専用のごみ箱を設置、管理することとし、ごみ箱の未設置や規定違反の投棄に対する改善命令を拒否した場合の罰金規定も定めているようです。

2015年現在、これらのごみ箱の形状は小区が独自に決めており、市全体としては形や色などの規格については統一していないようです。

 

なお、以下の(1)で家庭からのごみ捨てについて触れますが、報道(2015年4月12日新華社)によると、上海市绿化和市容管理局(上海市緑化・市外観管理局*)は、現時点では40万戸としているごみ分別奨励範囲を、2015年中に100万戸まで拡大する計画をしているとのことです。   (*訳語は私訳です。)

 

≪生活ごみの分類≫
1.リサイクルできるもの(可回收物)
廃プラスチック、古紙、ガラス、金属など
2.有害ごみ(有害垃圾)
電池や薬品などの人体や環境に有害なもの、もしくは有害となりうるもの
3.台所ごみ(濡れたごみ)(湿垃圾)
野菜くずや食べ残しなど
4.その他のごみ(濡れていないごみ)(干垃圾)
上記(1~3)以外のごみ
ちなみに、上海以外に北京、南京、杭州、桂林、广州、深セン、アモイなどの大都市でも市独自に政令を定め、ごみの削減に向けた取り組みが行われているようです。

(1)家庭からのごみ

ここからは、実際のごみ捨ての状況について友人たちに聞き取り調査したことを報告していきますが、まず先に、簡単に上海で暮らす日本人の住む地域について紹介したいと思います。

日本人は一般的に上海市の中心からやや西、虹橋空港近くの長寧区古北(グーベイ)と呼ばれるエリアに多く住んでいると言われています。

このエリアでは日本語のみでも話が通じるお店も多いですが、最近では設備やセキュリティの整った住宅が市内のあちこちに建設されていることもあり、古北以外のエリアに住み始めている日本人も多くなってきているようです。

しかし、エリアは色々となっても、セキュリティが一定レベル以上で、さらに外国語対応も可能なフロントのあるマンションが特に駐在員には選ばれることが多いように思われ、そうしたマンション内での日本人居住率は数割からほぼ100パーセントに上るようです。

 

ここからは、上海市内の地域や居住形態別のごみ捨てのルール・状況について報告します。

同じ上海市内でも上述のごみ分別奨励範囲となっている場所では住民自身がごみの分類をする必要がありますが、ごみ分別奨励範囲以外の地区では住民がごみを分類する必要がないようです。

どの地区でもごみ捨ての日時は決められておらず、ほぼ毎日回収されていくようです。また2015年現在は、上海の住民はごみ処理費用を負担していません。

 

A)サービスマンション(清掃員付きマンション)の場合(上海市長寧区)
1.ごみ袋:サービスマンションが支給
2.家庭でのごみの分類:行わない
3.サービスマンション全体のごみ置き場へのごみ出し日時:指定なし(主に清掃員清掃時)
4.サービスマンション全体のごみの分類:サービスアパートでは行わず、回収業者が回収

 

B)マンションの場合(上海市徐匯区)
1.ごみ袋:スーパー等で購入
2.家庭でのごみの分類:行わない
3.マンション全体のごみ置き場へのごみ出し日時:指定なし
4.マンション全体のごみの分類:マンションでは行わず、回収業者が回収

 

C)マンションの場合(上海市閔行区)
1.ごみ袋:使用しない(台所ごみ用ごみ箱は地区が提供)
2.家庭でのごみの分類:
・リサイクルできるもの(古紙、ガラス、プラスチック、金属、布類。 回収業者に電話し自宅まで引き取りに来てもらい、利用者が種類・重量ごとに定められた料金を受け取る場合と、マンション全体のごみ箱に捨てる場合がある。)
・濡れたごみ(うち、野菜くずは自宅家庭菜園に埋め、肥料として活用)
・有害ごみ(電池)
・その他のごみ
3.マンション全体のごみ置き場へのごみ出し日時:指定なし
4.マンション全体のごみの分類:各家庭で分類し、マンション全体としては行わず、回収業者が回収

 

D)アパートの場合(上海市普陀区)
1.ごみ袋:スーパー等で購入
2.家庭でのごみの分類:行わない
3.居住小区全体のごみ置き場へのごみ出し日時:指定なし
4.居住小区全体のごみの分類:アパート全体では行わず、回収業者がまとめて回収

 

E)アパートの場合(上海市長寧区)
1.ごみ袋:スーパー等で購入
2.家庭でのごみの分類:
・リサイクル可能なもの(ガラス、古紙、プラスチック、缶、金属)
・台所ごみ
・有害ごみ(電池、蛍光灯)
・その他の乾燥したごみ
3.居住小区全体のごみ置き場へのごみ出し日時:指定なし
4.居住小区全体のごみの分類:各家庭で分類し、アパート全体としては行わず、回収業者が回収

共用ゴミ箱

【写真】アパート共同のごみ置場

F)一軒家の場合(上海市松江区)
1.ごみ袋:スーパー等で購入
2.家庭でのごみの分類:行わない
3.居住小地区のごみ置き場へのごみ出し日時:指定なし
4.居住小地区全体のごみの分類:各家庭からのごみを回収業者が分類・回収

ゴミ袋

【写真】ごみ袋

(スーパーなどで、30~50枚入りのものが6~15元程度で売られているようです。市での指定などはないようです。)

ごみ箱

【写真】古着専用のごみ箱

(街中であまり見かけませんが、上記Cのマンションで見つけました。)

(2)道路、公共施設でのごみ

インターネット(百度百科)で調べたところ、道路、公共施設ついては『上海市道路和公共场所清扫保洁服务管理暂行办法(上海市道路公共場所清掃清潔サービス管理暫定規則*)』により清掃管理をすることが定められているようです。

街中の路上や公園、駅の構内などのあちこちに設置されているごみ箱は主に「リサイクルできるもの」と「その他のごみ」の2つに分けられており、どのような品目のごみを「リサイクルできるもの」に分類するかがごみ箱に書かれていますが、その通りに区別して捨てている人はほとんどなく、適当に捨てていることが多いように見られます。(*訳語は私訳です。)

リサイクルボックス

【写真】「リサイクルできるもの(可回收物)」

(右)には廃プラスチック、古紙、ガラス、金属などの廃棄物、また、「その他のごみ(濡れていないごみ)(干垃圾)」(左)にはリサイクルできるもの・有害ごみ・台所ごみ以外の、その他の生活廃棄物と表記されています。

ゴミ箱

【写真】(フィギュアスケート2015世界選手権観戦に訪れた)

東方体育中心では飲み物はプラスチックコップに入れられて販売されていましたが、ごみ箱は特に分類されていませんでした。