- 目次
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- 1中国が廃プラスチックの日本からの輸入を停止
- 2家電の平成15年度のリサイクル実績発表される集荷数の減少にもかかわらず、再再資源化商品化率は3%の伸び
- 3CD、DVD等のリサイクル促進~メディアリサイクル環境協会が発足
- 4ケミカルリサイクルのペットボトル、実用化始まるすでに店頭にも
- 5プラスチック化学リサイクル研究会が、リサイクル技術開発を表彰帝人ファイバーのPET樹脂リサイクルに技術功績賞
- 6容器包装のプラスチックごみの引き取り高炉3社で6割落札
- 7東京都廃棄物審議会が 廃プラスチックについて最終答申廃プラスチックのサーマルリサイクル選択を明示環境省も一般廃棄物処理のあり方、検討を始める
- 8廃油リサイクルで、金券として使えるチケット発行
- 9不法投棄産業廃棄物の残存量、1000万tを超える~環境省が調査市民の通報を受け付ける不法投棄ホットライン「産廃110番」開設される
中国が廃プラスチックの日本からの輸入を停止
日本から輸出された廃プラスチックが、中国でリサイクルされ、日用雑貨製品などとして再び輸入される例が増えていましたが、いま、このリサイクルの流れがストップするという事態に至っています。中国政府が2004年5月初め、日本から輸入する回収プラスチックの輸入停止を発表し、同時に7月から厳しい再生資源輸出事業者登録制をとると決めたためです。
この措置がとられた原因として、3月に九州のある企業が山東省青島市に回収プラスチック6,000tを輸出した際、有害物質の輸出を禁止する「バーゼル条約」に違反した疑いがあることがあげられています。この企業は、合格基準を満たした少量のプラスチックを貨物の最上部に置き、資源として利用価値のない生活ごみなどをその下に隠すという詐欺まがいの手段で輸出して、中国現地の環境に深刻な汚染をもたらしたということです。類似の環境汚染問題が過去にも数度起こっていることが背景にあり、中国政府の今回の措置となったと見られています。
日本からの廃プラスチックの輸出量は68万tで、うち9割以上が香港・中国への輸出でした。輸入が停止されたことにより、中国への輸出を行っていた日本企業約300社は、深刻な打撃を受けており、回収プラスチック関連の企業180社で構成される全日本プラスチックリサイクル工業会は、今回の中国政府の措置により引き起こされた多くの問題を迅速に解決するよう経済産業省に要請しています。
今回の企業がバーゼル条約に違反していたかどうかは調査中ですが、中国の国内品質基準を満たしていなかったことは現地調査した日本政府(経済産業省など)も確認しています。一部企業の行為が国際問題に発展し、廃プラスチック業界全体に重大な影響をもたらしたことは、非常に残念といわなければなりません。業界からは一刻も早い輸入再開が待たれていますが、再開のめどは立っていません。
(出典:朝日新聞2004.5.29、日刊工業新聞2004.6.7)
家電の平成15年度のリサイクル実績発表される集荷数の減少にもかかわらず、再再資源化商品化率は3%の伸び
(財)家電製品協会は、このほど、平成15年度の廃家電4品目のリサイクル実績を発表しました。これによると、家電リサイクル法に基づき、全国の指定取引場所が引き取った廃家電は、4品目合わせて1,046万台、全国41カ所の家電リサイクルプラントに搬入された廃家電4品目は1,051万台で、共に前年度と比べ3%増加したことがわかりました。
平成15年度の家電の国内出荷は約8%減少していますが、引き取り台数、プラント搬入数が増加していることについて、環境省や経済産業省は、買い替えと共に廃家電をリサイクルする意識が定着し、リサイクルシステムが順調に機能していると見ています。
4品目の再商品化率は、エアコン81%、テレビ78%、冷蔵庫63%、洗濯機65%となっています。素材別に見ると、鉄、銅、アルミ、非鉄・鉄の混合物、ブラウン管ガラス、その他の有価物(プリント基板、その他のプラスチックなど)、法定基準を上回る再商品化率になっています。
資料は、(財)家電製品協会HP、経済産業省、環境省で公開中です。(出典:経済産業省、環境省)
関連URL:(財)家電製品協会
CD、DVD等のリサイクル促進~メディアリサイクル環境協会が発足
オリエント測器コンピュータ、アシスト、治商、ミツモトの4社は2003年12月7日に、「メディアリサイクル環境協会」(事務局・オリエント測器内)を設立したと発表しました。この協会は、CD、DVD、ビデオテープなどのメディアソフトを回収し、リサイクルを促進することを趣旨として設立されたものです。
オリエント測器コンピュータは、2004年4月から、日本で初めてエコマーク事務局の認定を受けたCD-ROM「エコCD-ROM」と、CDケース「Pケース」を販売しています。同社はPC関連製品のリサイクルに力を注いでおり、リサイクルBOXと呼ばれる箱でCD/DVDメディアやPC製品の回収を行っています。
また、データ消去製品も多数開発しています。専用の機械でCDをポリカーボネートと金属に分離し、ポリカーボネートを粉砕して精製。プラスチックケースなども粉砕してポリスチレンを精製しています。精製されたポリカーボネートを50%使用して作られるのが、エコマークつきのCD-ROMです。ポリスチレンはPケースに再生されます。
現在の同社の処理能力は1カ月に3~4トン、CD-ROM生産能力は約20万枚/月で、工場はほぼフル稼働しているといいます。
データ消去は、特殊な周波数のマイクロ波で3秒間でデータを破壊するほか、HDDに穴を開けデータを読めなくする方法があるということです。
ケミカルリサイクルのペットボトル、実用化始まるすでに店頭にも
使用済みのPETボトルを、化学的手法を用いてリサイクルし、もう一度PETボトルに戻す技術が、世界で初めて日本で開発され、注目されています。
現在、この技術を使ってPETボトル用樹脂を生産しているのは、世界でも、帝人ファイバー株式会社と株式会社ペットリバースの2社だけです。帝人グループでは、最初に、使用済みPETボトルから、石油より製造したものと同等の高純度DMT(テレフタル酸ジメチル)を回収するプラントを操業し、それを原料としてポリエステル繊維へのリサイクルを開始しました。その後、「ボトルtoボトル」を目指した技術開発に取り組み、回収した高純度DMTをPETボトルの原料として最適なTPA(高純度テレフタル酸)に変換する設備、およびこのTPAを全量使用してボトル用PET樹脂を製造する設備を完成しました。この「ボトルtoボトル」リサイクル施設は、PETボトル約62,000トン/年(500mlPETボトル約20億本相当)からPETボトル用樹脂50,000トン/年を製造することができます。
帝人グループでは、PETボトル用樹脂の生産を帝人ファイバー(株)が、販売を帝人化成(株)が担当しており、2004年3月に内閣府食品安全委員会で、このPETボトルが新品同様の使用が可能との評価を得て、4月初めから「ボトルtoボトル」によるPETボトル用樹脂の出荷を開始しました。
一方、株式会社ペットリバースは、川崎市エコタウン内に建設していたペットボトルケミカルリサイクル工場は2004年3月24日に竣工式を終え、操業を始めました。こちらは、PETボトルをフレーク状にし、ポリエステル樹脂製造の中間原料、BHET(ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート)という単体の分子(モノマー)にしてからPETボトル用の樹脂にする「アイエス法」を用いたPETボトルの再生処理施設で、使用済みペットボトル27,500トン/年の処理ができます。こちらも、7月に内閣府食品安全委員会より使用可能の評価結果を得る見通しですので、店頭に並ぶのも間近です。
プラスチック化学リサイクル研究会が、リサイクル技術開発を表彰帝人ファイバーのPET樹脂リサイクルに技術功績賞
プラスチックの化学リサイクルに関する研究を推進する目的で活動しているプラスチック化学リサイクル研究会(会長・奥脇昭嗣東北大学名誉教授)は、今年度から優れた研究業績や技術開発を表彰することになり、このほど各賞が決定され、20004年6月4日、都内で表彰式が行われました。
同研究会は、産学官の多くの機関に分散している研究者によって1998年に創立されたもので、プラスチックの化学リサイクルに関する研究を学術的、学際的な立場から推進し、リサイクル社会の構築に大きく貢献していくことを目的に研究会や国際シンポジウムなどを続けています。
今年度は、功労賞に同研究会の創設・発展に寄与した明畠高司前東京理科大学学長・東京工業大学名誉教授が、研究功績賞には阪田祐作岡山大学教授の「廃プラスチック分解油の脱ハロゲン精製プロセス」に関する研究が選ばれました。また、技術進歩賞には札幌プラスチックリサイクルの技術顧問・橘秀昭氏の「一般廃プラスチック油化プロセスの実用化技術の確立」、技術功績賞には野口泰稔帝人ファイバー社長の「使用済みPET樹脂の再生技術の実用化」が選ばれました。
容器包装のプラスチックごみの引き取り高炉3社で6割落札
包装容器の廃プラスチックは、さまざまな用途で製品にリサイクルされていますが、大規模なのが、コークスの代わりに高炉還元剤として再利用されるなど、製鉄所でのリサイクルです。2004年度に地方自治体によって回収される廃プラスチック(除く、廃PETボトル)は約47万tになる見込みですが、入札窓口となっている日本容器包装リサイクル協会によると、3月に行われた今年度の入札の結果、製鉄所3社の落札量を合わせると、全体の6割になるということです。この3社は、新日鉄(落札量16万t)、JFEスチール(同12万t)、神戸製鋼(同1万t)。
(出典:2004.3.11鉄鋼新聞)
東京都廃棄物審議会が 廃プラスチックについて最終答申廃プラスチックのサーマルリサイクル選択を明示環境省も一般廃棄物処理のあり方、検討を始める
東京都廃棄物審議会は、2003年6月に都知事の諮問を受け審議してきた「廃プラスチックの発生抑制・リサイクルの促進について」の最終答申を、2004年5月18日に発表しました。
都内の区市町村の多くは、分別収集が始まった当初の決定を引き継ぎ、廃プラスチックを「不燃ごみ」として区分しています。そのため、プラスチックごみは01年度で一般廃棄物と産業廃棄物を合わせて125万トンが排出され、そのうち5割強の67万トンが有効利用されることなく埋め立てられています。
最終報告は廃プラスチックを「埋め立て不適物」とし、貴重な資源として有効活用する必要性を指摘しています。また、有効活用の方法としては、マテリアルリサイクルを徹底するとともに、種類別に分別することが困難なものや汚れのついたもの、複合素材など、資源の保全、環境への負荷、経済性の面でマテリアルリサイクルに適さないものは「サーマルリサイクルを行って埋め立て処分量ゼロをめざすべきである」としています。これは、プラスチックの「不燃ごみ」扱いからの転換を方向づけるとともに、サーマルリサイクルの評価を明確にしたものといえます。
これにより、東京都は早ければ来年度から改正条例を施行することになります。今後、各区市町村や事業者にも、さまざまな影響を与えるものを思われます。
環境省も中央環境審議会・リサイクル部会で「市町村の一般廃棄物処理のあり方について」の検討を開始しています。ここでは、廃棄物の発生抑制、再使用のための施策の方向性について、有料ゴミ袋など、廃棄物処理サービスのあり方について検討するほか、再利用の推進に向け、廃プラスチック類をどう扱うか、マテリアルリサイクル、サーマルリサイクルの進め方について検討していくことになっています。
一方、以前より(社)プラスチック処理促進協会は「プラスチック廃棄物の発生状況に対応する適切な処理方法」として、マテリアル、ケミカル、サーマルリサイクル技術の活用による資源循環を提案しています。
関連URL:東京都廃棄物審議会答申は東京都公式HP
廃油リサイクルで、金券として使えるチケット発行
家庭から出る揚げ物などの廃食油をVDF(Vegetable Diesel Fuel)という軽油代替燃料や石けんにリサイクルしている東京都墨田区の株式会社ユーズは、廃油と引き換えに目的限定型マネー(使い方は商品券と同じ)ユーズマネーというチケットを発行しています。
これは、量に関係なく、廃油を10回送ってくれた人に、1670円相当にあたる167ユーズを返送するというものです。このユーズマネーは、たとえば、福島県只見にある森、一坪、同社が経営する低価格書店「ユーズの森の本屋」の本、軽油代替燃料(8ユーズで1リットル)に交換できるほか、すし屋、エコロジー雑貨店など、同社が契約を結んでいる加盟店なら、どこでも金券として使えます。
廃食油は持ち込み、宅急便での送付(送料は自己負担)とも可能です。てんぷらやから揚げを作った後、使いきれずに酸化してしまった食用廃油は、健康によくないため、最近では固めて捨てるのが一般的です。資源をむだにせず、石けんや燃料としてよみがえったうえ、もう一つの楽しみがあるというこのシステムは各地の市民グループからも注目されています。
関連URL:株式会社ユーズ
不法投棄産業廃棄物の残存量、1000万tを超える~環境省が調査市民の通報を受け付ける不法投棄ホットライン「産廃110番」開設される
環境省は2004年4月28日、不法投棄等で残存する産業廃棄物についての調査結果をまとめ発表しました。これによると、全国で、残存する廃棄物の合計量は1,096万tに達し、件数では2,505件という結果でした。都道府県別では千葉県が877件、約389万tと最も多く、件数では福島県、茨城県、群馬県が続いています。
規模別に見ると10万t以上の大規模なものは18件でしたが、残存量で見るとその18件だけで全体の44%の487万tでした。不法投棄されている廃棄物の内容では、建設系廃棄物が1666件と全体の67%を占め、残存量も616万tと全体の56%を占めることがわかりました。中には有害物質の流出など、生活環境保全上の問題があり、措置命令や代執行が予定されているものもあります。この調査結果は2003年11月時点での各県の報告に基づいているため、2004年3月に発覚した岐阜県椿洞の不法投棄は含まれていません。
環境省では産業廃棄物の不法投棄について、毎年、実態調査を行っていますが、残存量については2001年度に行ったのが最初で、今回は2回目です。同省廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課は、「今回は前回に比べて調査項目を増やすなどしているため単純比較はできないが、今後、調査を続けることによって問題点を精査していく」としています。
また、このような実態を受け、同課不法投棄対策室では、6月16日から、大量の産業廃棄物の不法投棄についての情報を、一般市民から受け付ける「産廃110番」を開設しました。大規模な産業廃棄物の不法投棄や、このまま放置しておくと大規模不法投棄につながる恐れがあると思われる現場を目撃した場合は、「産廃110番」に通報してほしいと呼びかけています。
「産廃110番」:メールアドレス sanpai110@env.go.jp
:ファックス 0120-537-381(ゴミなし産廃)
関連URL:環境省HP
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