2020.12.20
2020年12月掲載 2019年廃プラスチック総排出量は850万t、有効利用率は85% プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況(マテリアルフロー図)を公表
このたび「プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況」(マテリアルフロー図/以下、フロー図と略称)を公表しましたので、その概要をご紹介します。
尚、本年は、国内樹脂製品消費量の見直しと加工ロスに関する係数の更新を行い、2015年まで遡って適用しました。また、昨年までのフロー図ではガス化による生成物が化学原料、燃料のいずれに利用されるかに拘わらず、すべてケミカルリサイクルに含めていましたが、2019年4月以降、ガス化(燃料利用)が容器包装リサイクル法の再商品化方法として認可されなくなったことから、2019年フロー図より用途毎に利用量を分け、ガス化生成物の用途が燃料の場合、サーマルリサイクルに含めることにしました。
2019年国内の「樹脂生産量」は、前年比17万t減の1,050万tとなりました。その内訳は下図のとおりで、生産量はポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン類(AS、ABS含む)の順となっています。
また「廃プラ総排出量」は前年比11万t減の850万tとなり、このうちの85%にあたる726万tが有効利用されました。
「廃プラ総排出量」の分野別、樹脂別内訳は下図のとおりで、昨年同様、分野別では包装・容器等/コンテナ類が、樹脂別ではポリエチレン、ポリプロピレンが主なものとなっています。
上記「分野別内訳」につき、これを「一般系廃棄物」(412万t)、「産業系廃棄物」(438万t)別でみたものが以下の図です。一般系廃棄物では「包装・容器等/コンテナ類」のみで全体の8割近くを、産業系廃棄物では「電気・電子機器/電線・ケーブル/機械等」と「包装・容器等/コンテナ類」の二つで全体の半分を占めていることがわかります。
有効利用率85%の内訳は、マテリアルリサイクル22%、ケミカルリサイクル3%、サーマルリサイクル(エネルギー回収)60%となりました。有効利用率の一層の向上のためには、15%(125万t)を占める未利用の単純焼却(8%:70万t)、埋立(6%:54万t)をリサイクルの流れの中にうまく取り込んでいく必要があります。
一方、マテリアルリサイクルの利用先としての廃プラスチック輸出量は、2018年より中国で実施された廃プラスチックの輸入規制強化の影響を受けて前年に引き続き減少し、前年比11万t減の79万tとなりました。
フロー図には環境負荷情報も記載しています。環境削減効果(削減貢献量)は、日本国内で消費されるプラスチックを対象とし、廃プラスチックをフロー図記載のとおり有効利用した場合と有効利用せずに単純焼却したと仮定した場合とについて、プラスチックのライフサイクルにおける各段階(原料調達、プラスチック製造、同加工、使用済品の収集・回収、使用済品の処理・処分)のエネルギー消費量、CO2排出量をそれぞれ算出し、各総計の差をとることで求めています。
フロー図記載数値に基づく2019年のエネルギー削減効果は、前年と同量の185PJ (一般系廃棄物80PJ、産業系廃棄物105PJ) となりました。185PJは、家庭消費総エネルギー量の5.2%、304万世帯分に相当します。
* PJ: ペタジュール=10の15乗ジュール
またCO2削減効果は、前年比10万t増の1,559万t(一般系廃棄物576万t、産業系廃棄物983万t)で、これは家庭からのCO2総排出量の6.2%、362万世帯分にあたります。
* 家庭消費総エネルギー量( 自家用車の使用量を含む) : 3,530PJ(60.9GJ/世帯)
* 家庭からのCO2総排出量(自家用車の排出量含む) : 2.50億t-CO2 (4.31t-CO2/世帯)
上記は2017年の経産省・環境省データを基にプラスチック循環利用協会で計算した値を使用
* 全世帯数 : 5,801万世帯 (2018.1.1. 総務省Webサイトより)
プラスチックを使うことはややもすれば環境に悪いものとみられがちですが、上記のとおり廃プラスチックの有効利用により環境負荷削減に多大な貢献しているということをおわかりいただけるのではないでしょうか。
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