2023.04.21

環境にやさしい処理施設を目指す ふじみ衛生組合リサイクルセンター・クリーンプラザふじみ(東京都三鷹市・調布市)

環境にやさしい処理施設を目指す ふじみ衛生組合リサイクルセンター・クリーンプラザふじみ(東京都三鷹市・調布市)

2022年11月に、一般廃棄物としての廃プラスチックの中間処理に関わる施設見学・現地取材を実施しましたのでご紹介します。

2022年4月にプラスチック資源循環促進法が施行されました。この法律により、プラスチック製容器包装(容リプラ)とプラスチック使用製品(製品プラ)の一括回収を行なう自治体が増えてきていますが、ふじみ衛生組合ではそれよりも以前からすでに一括回収を伴う廃プラスチックの資源化に取り組まれており、背景やこれまでの経緯などを踏まえて取材させていただきました。なお、施設や設備の老朽化をはじめ、労働環境改善などさまざまな課題を解決するため、2024~2027年に中間処理施設の改修工事を行ない一括回収されるプラスチックの高度選別化を予定されているとのこと、改修前の姿として見学・撮影させていただきました。改修後にもお伺いすることで、Before/Afterを確認させていただこうと思っている次第です。当日は、ふじみ衛生組合の加藤孝一さん、加藤弘道さん、林岳夫さんにご案内いただきました。

ふじみ衛生組合

■施設概要とプラスチック処理の流れについて

ふじみ衛生組合は三鷹市と調布市で組織する一部事務組合で、1960年に設立されました。2006年より可燃ごみ処理を行なうようになり、2013年にはクリーンプラザふじみ(可燃ごみ焼却施設)が竣工されたことで可燃ごみ焼却時に発生する熱を回収して発電利用や温水利用するとともに、焼却灰については東京たま広域資源循環組合のエコセメント化施設にてセメントとしてリサイクルしています。プラスチック残渣処分量はゼロとなっており、最終処分場である二ツ塚廃棄物広域処分場での埋立処分量削減・延命化に寄与しています。

クリーンプラザふじみ施設案内図
全体配置図

家庭から排出されるごみの中で、主として不燃ごみとプラスチックごみはリサイクルセンターで、可燃ごみはクリーンプラザふじみで、それぞれ受入れ処理を行なっています。ただし、三鷹市と調布市とでは収集の仕方が若干違っており、三鷹市ではプラスチック類として容リプラと製品プラの混合収集が行なわれているのに対し、調布市では容リプラのみをプラスチックとして収集、製品プラは燃やせないごみとして収集、といった具合となります。

 

プラスチック処理は手選別・機械選別のあと、圧縮梱包し容リプラとして出荷します。不燃ごみ(燃やせないごみ)とプラスチックごみは同じラインで処理する関係で、午前中は不燃ごみ、午後はプラスチックごみと時間を区切って処理します。

 

プラスチック処理の流れをもう少し詳しく説明します。

上図左のプラットホームでピットに三鷹市と調布市のプラスチックごみが収集され、コンベヤで建物3階に送られて破袋機(袋をやぶる機械)にかけられます。破袋機にかける前に、破袋不適物(破袋機に入れない方がよいものとして、汚れがひどいもの、発泡スチロールのような破袋機の刃に引っかかって詰まるものなど)や大きめのごみ、製品プラ、可燃ごみなどは取り除かれます。破袋機で破られた後は、電池などの有害物を取り除き、コンベヤに送られます。未破袋物(二重袋などで袋が破れていないもの)があれば人が選別して小型破袋機にかけ、破袋後に中段ラインに送られます。3階ラインでは重さの軽い容リプラを人がかき上げて2階ラインに落とします。2階ラインでは人による選別で異物除去して2階下段(高速)ラインに落とし、そこででも異物除去(図には記載されていませんが、永磁プーリーを使用して鉄類を取り除いています)して1階に落とし、最終的には圧縮梱包機にかけ、出来上がったベール(梱包物)を容リプラとして搬出します。容リプラ以外では、有害物(電池類)、鉄、アルミが資源化されますが、製品プラ含めてそれ以外のものはクリーンプラザふじみで可燃物として熱処理焼却(発電利用・温水利用)されます。

 

容リプラの中でも、マヨネーズやからし等の調味料がきれいに取り出せない容器、油やソースなどがついた弁当容器、レトルト食品などが入っていた袋といった汚れたものは可燃物として収集され、クリーンプラザふじみで焼却処理されます。

下図はクリーンプラザふじみの処理フローとなります。

プラットホームからピット投入されたものについては選別作業がないため、プラスチックが混入されていたとしてもそのまま焼却されることになります。におい対策として、負圧を用いる、すなわち、押込送風機と脱臭装置によりプラットホームから焼却炉へ空気を流すことで、臭気を外に漏らさない、といった工夫がなされています。ここでは焼却発電を行なっていますが、得られた電力は、クリーンプラザふじみ・リサイクルセンターと隣接施設(三鷹中央防災公園・元気創造プラザ)への供給を賄った上で、余剰分は電力会社へ売電されます。

 

ペットボトルについては、プラスチックごみや可燃ごみとは別ルートで収集・処理されます。

収集時点でキャップとラベルを外して中をゆすいで出すことになっていますが、キャップとラベルが外されていないものは人が選別して外して、コンベヤに運ばれ、圧縮梱包機でベールにして搬出しています。

■施設見学(動画撮影)

搬入されたプラスチックごみは、プラットホーム内にて小型重機で壁際に寄せるような形で積み上げられます。午前中は不燃ごみを処理するため、この作業ができるのは午後だけとなります。その日に出たものはその日のうちに処理します。きれいなプラスチックを扱っていることもあり、臭いはほとんど気になりませんでした。とにかく量が多く、作業が大変だと感じました。

小型重機でプラスチックごみをコンベアのある奥へと押し込みます。奥には1階から3階へ運ぶコンベアがあり、プラスチックごみ量が多いため止まっているように見えますが、ゆっくり動いています。プラスチックごみをアップで映すとこんな感じ(↓)です。プラスチックごみに関しては有料袋ではなく、任意の袋に入れて収集されます。

プラスチックごみをアップ

1階からコンベヤで運ばれたものが3階の破袋機にかける前に、破袋不適物(汚れがひどいもの、発泡スチロール)や大きめのごみなどが取り除かれます。

破袋不適物はコンテナで上から落ちてくるものを受け、落ちきったらトラックでクリーンプラザふじみのプラットホームに運んでピットに投入、可燃ごみとして処理します。右隣の部屋は有害物貯留ヤードで、選別過程で出てくる小型家電や電池を溜め込む場所となります。

破袋機で袋を破かれ流されたものを人が選別する、という工程になります。不適物(有害物、発泡スチロール、長尺物、家電製品など)などがあれば除きます。また、未破袋物があれば選別して小型破袋機に送り込みます。

軽い容リプラはかきあげて、下の階に落とします。軽くあがるものは容リプラ、あがらないものは製品プラと考えてそのまま流します。コンベアの速さは、他と比べると速いと思いますが、これくらいの速さで流さないと処理が追い付かない、ということになります。

製品プラとして扱われたものが、2階の残渣ホッパーに落ちてきます。仕方ないことではありますが、実際には製品プラ以外にも、それなりの割合にて容リプラが含まれています。残渣ホッパーを1階から見た姿がこちら(↓)になります。

残渣ホッパーを1階から見た姿

通常は口を閉じていますが、開口し排出する際にはコンテナで受け、それをクリーンプラザふじみのプラットホームにトラックで運んでピットに投入、可燃物処理します。

2階下段ラインではコンベアが高速で送られており(恐らく日本の処理施設で最速)、不適物があれば除きます。ライン上で人による不適物除去はここが最後となります。

容リプラが圧縮梱包機にかけられ、ベールとして仕上がる様子となります。

ベールがフォークリフトで積まれます。ベール1つが約1m3で重さが250kg程度、ここからリサイクル工場へと出荷されます(リサイクル工場にて契約されている運送業者が10tonトラックで毎日2台程度、引き取りに来ます。

クリーンプラザふじみのプラットホームNo.4では、収集車からピットにごみが投入されるところです。取材当日は、可燃ごみ搬入物検査を実施しており、No.7手前では、抜き打ちで検査対象にする車両の選別を待っているところです。

ごみピットでごみを攪拌している様子です。ごみとして紙類、厨芥類、繊維類、木質類など様々な成分を含み、プラスチックも3割程度含まれているようです。攪拌して均質化することで、燃焼の安定化を図ります。自動運転によるごみクレーンで2~3トンを持ちあげ、ある程度の高さから落とすことで袋が破けますし、これを延々と繰り返すことで均質化がなれます。さらには、攪拌によってある程度水分が抜けることで、より燃焼されやすくなります。ガラス窓越しではありますが、クレーンそのもののサイズが大きい(ごみクレーンバケットは高さ2.4m、幅4.6m)ので、見ていて迫力があります。

ペットボトルストックヤード(集積所)の様子です。前述のように、ペットボトルについては、プラスチックごみや可燃ごみとは別ルートで収集・処理されます

ペットボトルの処理ラインとなります。コンベヤに運ばれたものは、圧縮梱包機に掛けてベールにした後に搬出します。

■ごみの組成と異物混入について

プラスチックごみと不燃ごみの組成分析を年2回、地域を選んで行なっています。表1はプラスチックごみの組成、表2は不燃ごみの組成となります(実際には更に細かく分析されていますが、ここではプラスチック関連部分に絞ってまとめさせていただきました)。

表1. プラスチックごみの組成(2022年4月、湿ベース重量比率)

プラスチック 可燃物 金属類
容リプラ 製品プラ ペットボトル 紙類・厨芥類・繊維類など 鉄・アルミなど
三鷹市 82.2% 14.2% 1.1% 2.3% 0.1%
97.6%

 

表2. 不燃ごみの組成(2022年4月、湿ベース重量比率)

不燃物 可燃物
プラスチック 金属類、家電製品、
陶磁器、ガラス、
ゴム、皮革、
電池、土砂など
紙類・厨芥類・繊維類など
容リプラ 製品プラ ペットボトル
三鷹市 1.7% 18.4% 0.0% 71.2% 8.7%
20.1%
調布市 5.8% 29.8% 0.1% 53.0% 11.2%
35.8%

プラスチックごみとして収集されたものの中には、別収集しているペットボトル、紙類・厨芥類・繊維類などの可燃物、鉄・アルミなどの金属類が異物として混入していますし、不燃ごみとして収集されたものの中にもプラスチックが混入しています。調布市では容リプラのみをプラスチックとして収集、製品プラは燃やせないごみとして収集しているため、三鷹市よりも不燃ごみ中のプラスチックが多くなっていると思われます。不燃ごみ中に混入した可燃物はクリーンプラザふじみで焼却されます。

ペットボトルに注射針

ペットボトルについては、ラベルやキャップが外されていないことがあるため、処理ラインで外しています。それ以外の異物として、在宅医療用注射針・注射器入りのペットボトルが見つかることがあります(2021年度:5日間16本、2022年度:8日間13本)。選別や運搬の作業を行なっている作業員の方々が怪我をする危険性が高まりますので、発見した場合は両市に連絡し、広報誌やホームページで正しく排出するよう市民啓発の依頼をしています。

可燃ごみの異物混入については、水銀や発火の問題があります。異物として乾電池やリチウムイオン電池を混入しないよう、広報誌を通じて分別へのご協力を呼びかけています。なお、汚れたプラスチックは可燃ごみとして収集され、汚れていない容リプラや製品プラが混入していたとしてもそのまま燃焼されます。とはいえ、可燃ごみの場合は有料袋に入れての収集となりますので、実際のところ、きれいなものの多くはプラスチックごみ(無料)として収集されることになります。

■今後について

リサイクルセンターの中央棟は1994年竣工翌年稼働開始の施設ですが、その後に容器包装リサイクル法が本格施行(1997年)となりました。プラスチック処理操業は、やむを得ず不燃ごみ処理ラインを使って行なっています。施設見学のところでご覧のように、大量のプラスチックごみが毎日入ってきます。クリーンプラザふじみでは可燃ごみの操業を止めても搬入物を溜め込むことができるのですが、リサイクルセンターには搬入物を溜め込むところが無いため、その日に入ってきたものはその日のうちに処理する必要があります。施設内コンベヤ速度を上げるなどの対策を行なっていますが、それでもひっ迫しているというのが現状です。全体的に施設が老朽化してきているということもあり、2024年度に解体工事開始、2027年度から新施設を稼働開始ということで準備を進めています。設備仕様については、一括回収されるプラスチックの高度選別化などを踏まえて今後決めることになりますが、不燃ごみとプラスチックごみのラインを別にする、異物が入ってきても適切に対応できるようにする、そのための整備対応をキチンとできる施設に仕上げるそうです。改修後は、今よりも多くのプラスチックがリサイクル向けに回されることから、CO2排出削減につながることが見込まれます。

(文責)調査研究部 別府隆幸