2021.12.15

2020年度、リデュース率25.3%、リサイクル率88.5%に ―PETボトルリサイクル推進協議会―

2020年度、リデュース率25.3%、リサイクル率88.5%に ―PETボトルリサイクル推進協議会―

11月、PETボトルリサイクル推進協議会が「PETボトルリサイクル年次報告書2021」を公表しましたので、その概要をご紹介します。

同報告書によると、04年度を基準年とした20年度「指定PETボトル」については、全体での軽量化率(表1)が25.3%、削減効果量が17.7万tとなりました(図1)。軽量化率は前年度比では0.5ポイントの伸びとなっており、軽量化への取り組みが地道に進められていることがわかります。

近年の成形技術・充填技術の進展によるPETボトルの軽量化は目覚ましいものがあり、2004年度に比べ、主要な用途・容器サイズ計17種で2~39%の軽量化が実現しています。

軽量化率算定方法

表1 軽量化率算定方法

容器軽量化による削減効果と軽量化率の推移(2004~20年度)

図1 容器軽量化による削減効果と軽量化率の推移(2004~20年度)

軽量化に係る指定PETボトル・主要17種の目標と20年度実績は図2のとおりで、17種中9種(清涼飲料《耐熱》の500ml、1,500ml、2,000ml、同《無菌》の500 ml、酒類の4,000 ml、みりんの1,000ml、しょうゆの500ml、しょうゆ加工品の500ml、1,000ml)については2020年度軽量化目標達成済みであり、残る8種も目標達成に向けた取り組みが着実に進められています。

指定PETボトル・主要17種の軽量化目標と実績(2020年度)

図2 指定PETボトル・主要17種の軽量化目標と実績(2020年度)

PETボトルは年々出荷量を大きく伸ばしていますが、出荷量増がどう環境に影響を及ぼしているかを示したのが表2と図3です。

これらをみると20年度のPETボトル出荷本数は217億本と基準年度(04年度)比1.47倍増となりましたが、環境負荷(CO2排出量)は199万tと基準年度の0.95倍と下回りました。

その理由について報告書では、「ボトルの軽量化をはじめとする省資源・省エネルギーの取り組みの効果が表れたものと考える」としています。

基準年度(2004年度)と2020年度の環境負荷(CO2排出量)比較

表2 基準年度(2004年度)と2020年度の環境負荷(CO2排出量)比較

清涼飲料用PETボトルの出荷本数とその環境負荷(CO2排出量)の推移(2004~20年度)

図3 清涼飲料用PETボトルの出荷本数とその環境負荷(CO2排出量)の推移(2004~20年度)

一方リサイクル率については、指定PETボトル販売量が前年度比4.2万t減の55.1万tであったのに対しリサイクル量が前年度比2.2万t減の48.8万tであったため、前年度比2.6ポイント増の88.5%と、第3次自主行動計画目標「85%以上維持」を達成しました。

この数値は、欧米をはるかに凌駕する世界最高水準であり、我が国のPETボトルリサイクル意識の高さを改めて確認することができます(図4、5、6)。

回収・リサイクルの概要(2020年度)

図4 回収・リサイクルの概要(2020年度)

国内再資源化と海外資源化(2011~20年度)

図5 国内再資源化と海外資源化(2011~20年度)

日米欧のPETボトルリサイクル率の推移(2011~20年度)

図6 日米欧のPETボトルリサイクル率の推移(2011~20年度)

2020年度回収量63.7万t中、市町村回収は31.5万tでしたが、そのうち22.7万tが公益財団法人日本容器包装リサイクル協会(指定法人)に引き渡され、残る8.8万tが指定法人以外の独自処理となりました(独自処理率28%)(図7)。

指定法人引き渡し量および独自処理量の推移(2011~20年度)

図7 指定法人引き渡し量および独自処理量の推移(2011~20年度)

一方使用済PETボトルの輸出については、20年度については、17.0万t(フレーク状品14.4万t、ベール(ボトルプレス)品2.6万t)と前年度比3.3万t減少しました(図8)。

また、2021年1月から施行された「プラスチックの輸出に係るバーゼル法該非判断基準」において、使用済みPETボトルのベール品は規制対象となり、事実上輸出できなくなりました。

使用済PETボトルの形態別輸出量推移(2011~20年度)

図8 使用済PETボトルの形態別輸出量推移(2011~20年度)

報告書では、国内向け再生PET樹脂が何に、どれだけ利用されているかについての調査結果も示されています。

20年度では28.8万tまで調査することができました。主な用途は、シートが11.7万t(前年度比-1.5万t)、ボトル to ボトル(B to B)による指定PETボトルが8.6万t(前年度比+1.2万t)、繊維が4.8万t(前年度比-1.6万t)となっています。

このうちB to Bによる指定PETボトルへの利用については、各飲料メーカーの再生PET樹脂材の採用計画増にともない、B to B向けメカニカルリサイクル設備の増加が報告されていることから、水平リサイクルであるB to B のさらなる伸長が見込まれるとしています(表5、図9、10)。

また、国内の使用済みPETボトルにより作られたPET樹脂(ペレット)は、20年度は3.1万tが製品として輸出されたと報告しています。

(単位:千t)

2020年度具体的製品例と利用量(調査結果)(2019、20)

表5 2020年度具体的製品例と利用量(調査結果)(2019、20)

2020年度使用済みPETボトルの回収/再商品化の流れ

図9 2020年度使用済みPETボトルの回収/再商品化の流れ

ボトル to ボトルへの再生PET樹脂利用量の推移(2010~20年度)

図10 ボトル to ボトルへの再生PET樹脂利用量の推移(2010~20年度)

リユースについてはどうでしょうか。このことについて報告書では、①安全性の問題(リターナブルPETボトルは予期せぬ汚染があった場合、PETボトルに吸着された汚染物質をボトル状態での洗浄技術・検査技術では100%除去することは困難であること)、②環境負荷の問題(リターナブルPETボトルが、ワンウェイPETボトルより環境負荷が小さくなるのは、空ボトル回収率が90%以上で、販売拠点から工場までの返送距離が100㎞未満という非常に限られた条件下のみであること)などから、リユースは難しいとする判断に変わりはないとしています。

 

有効利用率についても詳しく述べています。2019年5月に策定・公表された「プラスチック資源循環戦略」のマイルストーンに先立ち、全国清涼飲料連合会が清涼飲料業界のプラスチック資源循環宣言として18年11月に表明した「2030年度までにPETボトルの100%有効利用を目指す」を受けて、同推進協議会でも新しい目標として19年度に「2030年度までにPETボトルの100%有効利用を目指す」を設定しました。

 

2020年度のリサイクル量は48.8万トン、リサイクルされなかった量は6.3万トンで、内訳はリサイクル工程で発生する残渣が4.5万トン、残りの1.8万トンは可燃ごみ・不燃ごみとして排出された量として計算します。残渣で熱回収された量は3.8万トン、可燃ごみ・不燃ごみで熱回収された量は環境省の可燃ごみの有効利用率94%を使用して算出した1.6万トンの計5.4万トンを熱回収量として推定し、新目標の2年目となる20年度のPETボトルの有効利用率は98%と報告しています(表6、図11)。

有効利用率算定方法

表6 有効利用率算定方法

有効利用率の算出(概略図)(2020年度)

図11 有効利用率の算出(概略図)(2020年度)

更に報告書では、2019年度データを用いた場合の環境負荷の側面からみたリサイクル効果評価についても触れています。

それによると、日本で利用されている指定PETボトルの、「リサイクル・再利用あり」の場合の資源採掘から生産・利用・回収・リサイクル・再利用(利用不可物の廃棄処理を含む)までのCO2総排出量は206万tであり、「リサイクル・再利用なし」とした場合のCO2総排出量353万tに対して、約42%の削減効果があったとしています(図12、表7)。

リサイクル・再利用を進めることでCO2排出量を147万t抑えることができたということになります。

CO2排出量削減効果(2019年度)

図12 CO2排出量削減効果(2019年度)

2019年度基本データ

表7 2019年度基本データ

報告書では、自主行動計画2020(第3次自主行動計画(2016年度~2020年度))の5年目最終年を迎え、その総括と2020年度の推進協議会の取り組みについて報告しています。このほかにも分別排出からはじまるPETボトルリサイクルの流れ、PET樹脂のマテリアルフロー、PETボトルとリサイクルの歴史、海洋プラスチックごみ問題への取り組みなど、様々な役に立つ情報が盛り込まれています。

 

※「PETボトルリサイクル年次報告書2021」は、PET推進協のホームページからダウンロードできます。

■PETボトルリサイクル推進協議会
http://www.petbottle-rec.gr.jp/