2023.12.22
2022年廃プラスチック総排出量は823万t、有効利用率は87% 「プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況(マテリアルフロー図)」を公表
このたび「プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況」(マテリアルフロー図/以下、フロー図と略称)を公表しましたので、その概要をご紹介します。
精度向上のために「①災害関連で発生する廃プラスチック量の調査」、「②散乱廃プラスチック(海ごみ)量の調査」を行いました。
①「使用済製品排出量」は災害によって短期的に大量発生するプラスチック廃棄物は考慮していませんでしたが、今回反映の検討を行いました。大規模災害(東日本大震災など)の発生がない場合の災害関連排出量は概ね1~2万t/年と推計されましたので、フロー図に1.5万t/年を計上することとしました。一方、大規模災害は発生量の確定に数年を要することが判明したため、数値が確定した時点で別途計上することとしました。
②ポイ捨て(不法投棄含む)されるプラスチックは量が不明のためフロー図上で構成要素化できていません。この量を推算した結果、海洋流出プラ量は数万t/年と推定されフロー図への影響は限定的と考えられました。一方、その精度については検証過程であり向上のためには陸域や空域への流出も把握する必要があることから、今年のフロー図への反映は見送り、調査を継続することとしました。
2022年国内の「樹脂生産量」は、「国内樹脂製品消費量」が前年より若干増加したものの輸出量の減少と輸入量の増加により、前年対比94万t減の951万tと新型コロナウィルス蔓延時の2020年の状況まで減少しました。
その内訳は下図のとおりで、生産量はポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン類(AS、ABS含む)の順となっています。
また「廃プラ総排出量」はほぼ横ばいの823万tとなり、このうちの87%にあたる717万tが有効利用されました。
「廃プラ総排出量」の分野別、樹脂別内訳は下図のとおりで、昨年同様、分野別では包装・容器等/コンテナ類が、樹脂別ではポリエチレン、ポリプロピレンが主なものとなっています。
上記「分野別内訳」につき、これを「一般系廃棄物」(424万t)、「産業系廃棄物」(399万t)別でみたものが以下の図です。一般系廃棄物では「包装・容器等/コンテナ類」のみで全体の8割近くを、産業系廃棄物では「電気・電子機器/電線・ケーブル/機械等」と「包装・容器等/コンテナ類」の二つで全体の半分を占めていることがわかります。
有効利用率87%の内訳は、マテリアルリサイクル22%、ケミカルリサイクル3%、サーマルリサイクル(エネルギー回収)62%となりました。有効利用率の一層の向上のためには、13%(107万t)を占める未利用の単純焼却(7%:61万t)、埋立(6%:46万t)をリサイクルの流れの中にうまく取り込んでいく必要があります。
一方、マテリアルリサイクルの利用先としての廃プラスチック輸出量は、プラ屑として51万t、再生原料として71万tの合計122万tで、マテリアルリサイクル品の約2/3が輸出されています。
フロー図には環境負荷情報も記載しています。環境削減効果(削減貢献量)は、日本国内で消費されるプラスチックを対象とし、廃プラスチックをフロー図記載のとおり有効利用した場合と有効利用せずに単純焼却したと仮定した場合とについて、プラスチックのライフサイクルにおける各段階(原料調達、プラスチック製造、同加工、使用済品の収集・回収、使用済品の処理・処分)のエネルギー消費量、CO2排出量をそれぞれ算出し、各総計の差をとることで求めています。
フロー図記載数値に基づく2022年のエネルギー削減効果は、前年比3PJ増の259PJ (一般系廃棄物103PJ、産業系廃棄物157PJ) となりました。これは、家庭消費総エネルギー量の7.8%、471万世帯分に相当します。
またCO2削減効果は、前年比18万t増の1,788万t(一般系廃棄物667万t、産業系廃棄物1,121万t)で、これは家庭からのCO2総排出量の7.9%、479万世帯分にあたります。
* 家庭消費総エネルギー量( 自家用車の使用量を含む) : 3,315PJ(55.0GJ/世帯)
* 家庭からのCO2総排出量(自家用車の排出量含む) : 2.25億t-CO2 (3.73t-CO2/世帯)
上記は2021年の経産省・環境省データを基にプラスチック循環利用協会で計算した値を使用
* 全世帯数 : 6,027万世帯 (2023.1.1. 総務省Webサイトより)
* GJ: ギガジュール=10の9乗ジュール
* PJ: ペタジュール=10の15乗ジュール
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