2015.01.15
2015年1月掲載 川崎市第3回スマートライフスタイル大賞(優秀賞) 昭和電工・川崎事業所が受賞
昨年11月、昭和電工株式会社川崎事業所が川崎市第3回スマートライフスタイル大賞(優秀賞)を受賞しました。スマートライフスタイル大賞は、CO2削減、地球温暖化対策推進を目的に川崎市が進める「カーボン・チャレンジ川崎エコ戦略(CCかわさき)」を踏まえ、平成24年度に設けられたもので、節電・省エネなど環境配慮行動を実践する市民、市内事業者を表彰するものです。
今回、川崎事業所は工場見学等によるプラスチックリサイクル体験、科学実験教室を通じた環境教育・科学教育の取り組みにより「優秀賞」を受賞することになりました。そこで、これら「取り組み」がどのようなものなのかについて取材させていただくことにしました。
川崎市第3回スマートライフスタイル大賞(優秀賞) 昭和電工・川崎事業所が受賞
川崎事業所で平日に行われている「工場見学」では、まずプラスチックリサイクルの仕組みと川崎事業所における容器包装プラスチックのアンモニア原料化事業についてDVDやスライドを使って説明を受けます。そして、家庭から排出された容器包装プラスチックがどのようにアンモニア原料へと変化するのかを「破砕成形設備」や「ガス化設備」を実際に見学し、理解を深めていきます。
取材時に対応していただいた川崎事業所・プラスチックケミカルリサイクル推進室の方は、「この工場見学に参加なさった方々は、「家庭で分別しているプラスチックが無駄になっていないと実感できた」「分別意識が高まった」「アンモニアが身の回りにある物の原料になっていることを知らなかった」等、ケミカルリサイクルを身近に感じていただけているようです」とおっしゃっていました。
家庭で分別された容器包装プラスチックが、川崎事業所でアンモニアにリサイクルされ、そのアンモニアはアクリル繊維やナイロン繊維の原料等として私たちが生活する社会に戻って来る、これが、昭和電工が2003年春から行っている「使用済みプラスチックアンモニア原料化事業」です。毎年2月に行われる川崎国際環境技術展にも毎回出展されており、「一人でも多くの市民の方に昭和電工のケミカルリサイクルを知っていただける良い機会です」ともおっしゃっていました。
また、「科学実験教室を通じた環境教育・科学教育」としては、当協会と連携し、2009年から出前授業を開始しました。プラスチックリサイクルの仕組みや方法、技術などを講義し、発泡スチロールのリサイクルの実験やポリスチレンカップからキーホルダーをつくる実験などを行うもので、小中学生や保護者を対象に行っています。
■昭和電工株式会社ホームページ
「3R推進功労者等表彰」経済産業大臣賞を フジ化成工業が受賞
2014年10月、フジ化成工業株式会社(鳥取県西伯郡伯耆町大殿)が「3R推進功労者等表彰」で経済産業大臣賞を受賞しました。
「3R推進功労者等表彰」は、経済産業省など関係7省が後援し、リデュース・リユース・リサイクル推進協議会(3R推進協議会)が行っているもので、正式名は「リデュース・リユース・リサイクル推進功労者等表彰」といいます。この表彰は、「循環型社会の推進を目的とし、リデュース(発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再資源化)に率先して取り組み、継続的な活動を通じて顕著な実績を挙げている個人・グループ・学校・事業所・地方公共団体等を表彰する」ことを目的に1992年から開始されました。
14年度は、全国から114件の推薦があり、内閣総理大臣賞および関係7省大臣賞13件、会長賞72件の計85件が選ばれましたが、フジ化成工業は内閣総理大臣賞に次ぐ、経済産業大臣賞を受賞することができました。
受賞理由は、「磁気テープ端材、自動車用ゴム部品端材のリサイクル及び工場から発生する廃棄物の削減」というもので、具体的には、磁気テープの製造工程で生じたテープ端材を使っての薄畳(バリアフリー畳)芯材や耐震スリット芯材の製造、自動車用ゴム部品端材を使っての防音床マットや防振材の製造など、廃材を原料とした製品開発・技術開発の取り組み、リサイクル製品事業化の姿勢が高く評価されたことによるものです。
フジ化成工業にお伺いしたところ、現在、新たな用途開発に積極的に取り組んでおり、その一つとして、例えば環境緑化ボード、排水性・透水性土壌改良材の事業化などを進めているとのことでした。
同社の今後の取り組みに注目していきたいと思います。
2014年11月から大阪府富田林市で家庭ごみ収集日や分別方法を簡単に確認できる新たな取り組みが始まりました。これは、市のホームページにゴミチェッカー(個々のごみの分別方法がわかる)とゴミカレンダー(地域毎のごみ収集日をチェックできる)のアプリケーションを掲載し、ごみの分別方法やごみ出しのタイミングがわからなかったときにスマートフォンでも手軽に確認することができるというものです。
市はこれまでもホームページにごみの分け方・出し方や収集日に係る一覧表を掲載したり、各世帯・地区にごみ分別マニュアルを配布したりしていましたが、ごみを実際に出すにあたり使いづらいという問題がありました。また、単身者や独身者の多い学生寮、マンションでは、収集日外のごみ出しや、分別されていないごみ出しなどが後を絶たず、これらの人たちにどのようにしてルールを守ってもらうかが課題となっていました。
そこで市はこれらの問題・課題に取り組むこととし、昨年半ばから議論を重ねった結果、昨今若者を中心に普及の著しいスマートフォンを活用した仕組みを開始することにしました。
新しい仕組みの導入後、利用者からは、例えば「ゴミカレンダー」を実際のカレンダー方式にして欲しい、「ゴミチェッカー」の分別の種類をもっと掲載できないかといった要望が寄せられるようになってきたとのことです。市では、今年度中の試行結果を見たうえで、これら意見も踏まえてより使いやすいものに改善していくことにしており、市衛生課の方からは「アプリを活用して廃棄物を正しく分別し、ごみの減量やリサイクルの大切さに気づいてほしい」とのお話がありました。
■富田林市ホームページ/一般家庭ごみのページ
PETボトルリサイクル(B to B)事業に進出 遠東石塚グリーンペット
台湾のPETボトルメーカー大手が、日本の再生PET市場に新しい風を送り込んでいます。
遠東石塚グリーンペット株式会社は、台湾の遠東グループと日本の総合容器メーカーの石塚硝子の出資により2012年に設立された合弁会社(遠東80%、石塚20%)で茨城県に本社/工場を置き、ボトルtoボトル(B to B)のメカニカルリサイクル事業を行っています。
合弁会社設立の狙いはどこにあるのでしょうか。また同社の事業構想はどのようなものなのでしょうか。
そこで、2014年12月、遠東石塚グリーンペット・本社/東京工場(茨城県)を訪問し、お話を伺うことにしました。応対してくださったのは、2013年末当協会主催の講演会(下記サイト参照)でご講演いただいた顔 宏任さんで、現在、同社・営業本部長として活躍されています。以下は顔さんからお聞きしたお話の要旨です。
「PETボトルのリサイクルというと一般家庭から排出され市町村が回収したものを思い浮かべるかもしれませんが、その他に店頭回収や自動販売機横のボックス回収による事業系廃PETボトルがあります。これらはいずれも日本にとって大切なリサイクル資源です。日本で生じる廃PET資源はできるだけ日本国内で再生利用し、循環させる、つまり地産地消ということが大切であると考えました。
このため当社では、自治体系のみならず、飲料用容器として分別された中間処理済みの事業系の廃PETボトルも原料として活用することを前提として事業展開を図ることにしました。ただ、先に述べたように事業系の廃PETボトルについては、飲み残しがあるとか、ラベル、キャップがついたままであるとかの問題があります。そこで、この事業系廃PETでも食品市場向け製品用原料として使用できるよう、洗浄・破砕工程の高度化、品質管理の徹底化を図り、B to B製造プロセスで高純度の再生フレーク・レジンを生産できるようにしました。」
【B to B製造プロセス】
<ベールから再生フレークへ>
(1)原料からPETボトル以外の異物を徹底的に除去し粉砕しフレーク化
(2)アルカリ・摩擦洗浄を経てリンス洗浄を行って汚れを除去
(3)各種ソーターや手作業で異素材選別を行い、再生フレーク完成
<再生フレークから再生レジンへ>
(1)再生フレークから金属検出器、溶融ろ過フィルターで異物を除去
(2)押出機によって真空脱気除染処理を行ってペレット化
(3)除染処理及びIV(固有粘度)制御のための固相重縮合反応プロセスを経て再生レジン完成
「当社は、今、5万トンのベール(廃PETボトルを圧縮梱包したもの)から再生レジン3.5万トンを生産できる体制にありますが、これは国内最大級の規模になります。またFDA(アメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administration))やEFSA(欧州食品安全機関(European Food Safety Authority))認証除染設備システムを導入し、製品の安全性確保にも最大限努めています。このような工程を経て再生されたPETのフレークやレジンは、B to Bとして使われる他、繊維、シート工業用PETバンド、電子部品の原材料としても活用されています。今後も独自のPETベール調達網を構築・強化し、2020年にはベール処理量を倍増して、再生レジン生産量の更なる増加に努めていきたいと思っています。」
遠東石塚グリーンペットのメカニカルリサイクルによるB to B事業をこれからも注目していきたいと思います。
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