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LCAとは
LCA(Life Cycle Assessment:ライフサイクルアセスメント)とは、製品の資源採取から原材料の調達、製造、加工、組立、流通、製品使用、さらに廃棄にいたるまでの全過程(ライフサイクル)における環境負荷を総合して、科学的、定量的、客観的に評価する手法です。
LCIとは
ライフサイクルインベントリ(Life Cycle Inventory)の略で、LCA分析を行うために対象製品のライフサイクルを通じて排出される二酸化炭素や消費する資源の量、発生する廃棄物などの環境負荷物質の量を計算したものです。
調査対象製品(樹脂)と製造工程
調査対象製品として6種類の樹脂(低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ビーズ法発泡ポリスチレン、ポリ塩化ビニル)を選定し、資源採掘・採取から対象製品を製造する全ての工程の環境負荷量を合算しました。(Cradle to Gate Data)(図-1)
図-1 LCIデータ算出の工程

資源採掘・採取から石油精製まではIDEAデータベースのデータ※を用いました。
※IDEA(Inventory Database for Environmental Analysis)データ:産業技術総合研究所により開発された世界最大規模のLCIデータベースのデータです。IDEAは、約5,000種類の農・林・水産物、工業製品等の日本の全ての製品・サービスを対象にしたデータを掲載しています。
対象製品(樹脂)および調査範囲と調査手法
対象製品(樹脂)を表-1に示します。
・表-1 対象製品(樹脂)
樹脂名 | 用途 |
---|---|
低密度ポリエチレン(LDPE) | ラップフィルムや食品チューブなどの包装材、農業用フィルムなど |
高密度ポリエチレン(HDPE) | 食品容器、シャンプー容器、バケツや洗面器、灯油缶など |
ポリプロピレン(PP) | 自動車部品、家電部品、PETボトルのキャップ、トレイ、繊維、医療機器など |
ポリスチレン(PS) | OA機器のハウジング、CDケース、食品容器など |
ビーズ法発泡ポリスチレン(EPS) | 容器(魚箱、野菜箱等)、梱包緩衝材、建築・土木など |
ポリ塩化ビニル(PVC) | ラップフィルム、上下水道管、雨樋、サッシ、壁紙、ホース、電線被覆など |
・調査範囲
対象製品(樹脂)の製造工程を機器・装置単位で区分したものを「ユニットプロセス」と定義し、個々のユニットプロセスをデータ収集の最小単位としました。
石油掘削から製品製造までのユニットプロセスを組み合わせた環境負荷を計算しました。(Cradle to Gate Data)データ収集項目は、投入原料、投入エネルギー、算出製品、環境負荷物質などです。
・分析手法
調査は策定したルールに従い次の手順で行い、各項目・各製品の計算処理にあたっては、主要樹脂メーカー数社のデータを用いた加重平均値を採用しました。
① 調査目的・趣旨の確認
② 調査手法詳細の検討・決定
③ データ収集
④データの最終処理・確定、遡及計算(動力プラント・公共電力・原料採掘・輸入・石油精製産業等のIDEAデータ等の繋ぎ込み)
対象製品(樹脂)のLCI調査結果
算出した対象製品(樹脂)のLCIデータを表-2に示します。
表-2 対象製品(樹脂)のLCIデータ
樹脂 | 単 位 | 化石資源消費量 (MJ) | 非化石資源消費量 (MJ) | CO2 (kg) | NOx (kg) | SOx (kg) | 温室効果ガス [GHG] (kg-CO2-eq) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
LDPE | /kt | 77,968,796 | 551,881 | 1,904,081 | 3,604 | 3,107 | 2,085,433 |
HDPE | /kt | 72,195,607 | 299,296 | 1,421,414 | 3,207 | 2,686 | 1,593,999 |
PP | /kt | 73,077,172 | 309,059 | 1,468,231 | 3,511 | 2,649 | 1,878,598 |
PS | /kt | 72,503,378 | 170,594 | 1,868,771 | 3,188 | 2,753 | 2,064,528 |
EPS | /kt | 54,272,944 | 662,082 | 1,688,508 | 2,670 | 2,532 | 1,846,363 |
PVC | /kt | 50,662,096 | 1,742,887 | 1,901,455 | 2,811 | 2,833 | 2,026,849 |
※ kt=1000t
化石資源消費量および非化石資源消費量について
・IDEAでは、消費エネルギーという定義に基づく計算はなく、エネルギーに関連する項目は、化石資源消費量(MJ)と非化石資源消費量(MJ)で計算されています。
・化石資源消費量は、原料炭、一般炭、褐炭、原油、天然ガス、液化天然ガス等の化石資源由来資源の消費量、非化石資源消費量は地熱発電、太陽光発電、風力発電、水力発電等の非化石資源由来の消費量です。
・従いまして原料由来の資源消費量は、化石資源消費量へ分類されます。
LCIデータ算出ルール
・今回のLCIを算定するにあたり「石油化学製品におけるLCI算定ルール」として算定ルールを策定しました
目次は以下の通りです。

・策定したルールは、以下公開ルール等を参考にしています。
◆Together for Sustainability “The Product Carbon Footprint Guideline for the Chemical Industry -Specification for product Carbon Footprint and Corporate Scope3.1 Emission Accounting and Reporting Version 3.0” (2024)
◆経済産業省 “カーボンフットプリントガイドライン” (2023)
◆Plastics Europe “Eco-profiles program and methodology Ver3.1” (2022)
以上
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