2019.12.15
2019年12月掲載 2018年廃プラスチック総排出量は891万t、有効利用率は84% プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況(マテリアルフロー図)を公表
このたび「プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況」(マテリアルフロー図/以下、フロー図と略称)を公表しましたので、概要をご紹介します。
2018年廃プラスチック総排出量は891万t、有効利用率は84% プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況(マテリアルフロー図)を公表
2018年の国内の「樹脂生産量」は、前年比35万t増の1,067万tとなりました。その内訳は下図のとおりで、生産量はポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン類(AS、ABS含む)の順となっています。
また「廃プラ総排出量」は前年比12万t増の891万tとなり、このうちの84%にあたる750万tが有効利用されました。
「廃プラ総排出量」の分野別、樹脂別内訳は下図のとおりで、昨年同様、分野別では包装・容器等/コンテナ類が、樹脂別ではポリエチレン、ポリプロピレンが主なものとなっています。
上掲「分野別内訳」につき、これを「一般系廃棄物」(429万t)、「産業系廃棄物」(462万t)別でみたものが以下の図です。一般系廃棄物では「包装・容器等/コンテナ類」のみで全体の8割近くを、産業系廃棄物では「電気・電子機器/電線・ケーブル/機械等」と「包装・容器等/コンテナ類」の二つで全体の半分を占めていることがわかります。
有効利用率84%の内訳は、マテリアルリサイクル23%、ケミカルリサイクル4%、サーマルリサイクル(エネルギー回収)56%となりました。有効利用率の一層の向上のためには、16%(162万t)を占める未利用の単純焼却(8%:73万t)、埋立(8%:68万t)をリサイクルの流れの中にうまく取り込んでいく必要があります。
一方、マテリアルリサイクルの利用先としての廃プラスチック輸出量は、前年比38万t減の91万tとなりました。
中国の廃棄物輸入規制による影響は、年末からの適用であったこともあり、2017年では目立った影響は見られませんでしたが、適用本格化の2018年では中国向けはほとんどゼロに近い状態となってしまいましたが、代わって周辺アジア諸国への輸出が増加したこともあり当初懸念されていたほどの落ち込みとはなりませんでした。しかしながら、周辺アジア諸国での廃プラスチック輸入禁止の動きもあり、これが2019年廃プラスチックのフローにどのような影響をもたらすかは非常に注目されるところです。
フロー図には環境負荷情報も記載しています。環境削減効果(削減貢献量)は、日本国内で消費されるプラスチックを対象とし、廃プラスチックをフロー図記載のとおり有効利用した場合と有効利用せずに単純焼却したと仮定した場合とについて、プラスチックのライフサイクルにおける各段階(原料調達、プラスチック製造、同加工、使用済品の収集・回収、使用済品の処理・処分)のエネルギー消費量、CO2排出量をそれぞれ算出し、各総計の差をとることで求めています。
フロー図記載数値に基づく2018年のエネルギー削減効果は、前年比33PJ減の185PJ (一般系廃棄物77PJ、産業系廃棄物108PJ) となりました。185PJは、家庭消費総エネルギー量の5.2%、304万世帯分に相当します。
* PJ: ペタジュール=10の15乗ジュール
またCO2削減効果は、前年比106万t減の1,593万t(一般系廃棄物567万t、産業系廃棄物1,026万t)で、これは家庭からのCO2総排出量の6.4%、370万世帯分にあたります。
* 家庭消費総エネルギー量( 自家用車の使用量を含む) : 3,530PJ( 60.9GJ/世帯)
* 家庭からのCO2総排出量(自家用車の排出量含む) : 2.50億トン-CO2 ( 4.31トン-CO2/世帯)
上記は2017年の経産省・環境省データを基にプラスチック循環利用協会で計算した結果を使用
* 全世帯数 : 5,801万世帯 (2018.1.1. 国勢調査結果より)
プラスチックを使うことは、ややもすれば環境に悪いとみられがちですが、上掲のとおりプラスチックうまく使うことで実は環境負荷軽減に多大な貢献をしているということをおわかりいただけるのではないでしょうか。
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