PETボトルの新指標「リサイクル率」85.8% (従来指標「回収率」では79.6%) PETボトルリサイクル推進協議会が2012年度年次報告
PETボトルリサイクル推進協議会(PET推進協)が2012年11月に発表した「PETボトルリサイクル年次報告書2012」によると、新たな指標となった2011年度のリサイクル率は85.8%で、前年度比2.2ポイント増となりました(従来指標の回収率では79.6%《前年比7.4ポイント増》)。
今回の報告書からリサイクルの指標が「回収率」から「リサイクル率」に変更されています。これは、PETボトルの輸出が増加し、回収率ではリサイクルの実態を把握できないため、最終的にキャップ・ラベルを含まない再生原料としてリサイクルされるまでのリサイクル率を指標としたことによるものです。
PET推進協の2015年度までの第2次自主行動計画では「リサイクル率85%以上の維持」が目標として掲げられていますが初年度からこの目標値を達成できたことになります。使用済みPETボトルの3R推進に向けた取り組みが着実に進められていることがわかります。
また、今回の報告書には、「ボトルtoボトル(B to B)への取り組み」手法として2004年内閣府食品安全委員会で安全が認定されたケミカルリサイクル(化学的再生法)と国内で初めて実用化されたメカニカルリサイクル(物理的再生法)の技術が紹介されています。このうちのメカニカルリサイクルは、通常のマテリアルリサイクル工程にアルカリ洗浄と物理的高度処理を付加し不純物を除去する米国FDA(食品医薬品局)の認定を受けたシステムです。今後の拡大が課題ですが、使用済みPETボトルの水平循環リサイクルの定着化を促進させそうです。
2011年度のB to Bリサイクルは2万4,600t。そのうちメカニカルリサイクルB to Bは500tでした。
PETボトルリサイクル推進協議会 http://www.petbottle-rec.gr.jp/
塩ビものづくりコンテスト開催 塩ビ樹脂の新たな価値づくりにひと役
柔軟性に富み、加工しやすく経年劣化も少ないSoft PVC(軟質塩ビ)の新しい価値を発見し広めようと、塩ビ関連6団体が主催する「塩ビものづくりコンテスト2012- PVC Design Award2012-」が開催され、2012年11月27日に表彰式が行われました。このコンテストは昨年に続き2回目です。
一般の方からの「作品応募」と塩ビ製品関連企業等からの「製品応募」を合わせ242点の応募があり、この中から大賞1点、優秀賞2点、特別賞6点、入賞9点が決まりました。東京、大阪、名古屋で作品展示会が開かれ、入賞作品と高評価を得た約40作品が展示されました。このコンテストを通し、塩ビ製品についての理解が深められたようです。
「PUSHION」(㈱三洋/鈴木伸也さん)が大賞を受賞しましたが、今回は、優秀賞の一つを紹介します。
■優秀賞「エアーディンプルボール」㈱三洋/山崎正彦さん
内側が硬めのPVCシート、外側が柔らかめのPVCシートを使った二重構造のボール。
空気を入れると、内側の硬めのPVCにある小穴から空気圧で外側の柔らかめのPVCが押されて凸型のディンプルを作る構造になっています。このディンプルによりボールの直進性が向上しました。
既存のエアーボールは「軽くて大きい」ので、空気抵抗・風の影響・投げ方(回転等)に左右され、距離が出ない上にコントロールしにくいという欠点があります。そこで、ゴルフボールの逆発想から、ボールの表面に凸を付けることにより、従来と同様の軽さながら、体力の劣る幼児や高齢者でもコントロールしやすく、距離も出るようにしたものです。初心者でも楽しめる新しいボールゲームの提案をしています。
「塩ビものづくりコンテスト2012- PVC Design Award2012-」 http://www.vinyl-ass.gr.jp/pvcdesignaward/index.html
下水汚泥にプラ廃材を混合し固形燃料へ 福井県公社、福井資源化工など 日本初の加工技術を確立
福井県産業廃棄物処理公社は福井資源化工などと共同で、下水汚泥に発熱量の高いプラスチック廃材を9:1の割合で混ぜて固形燃料をつくる日本初の加工技術「発酵乾燥・固形燃料化技術」を確立しました。
この技術は、食品残渣を使った堆肥化などで全国的に行われている方式を「下水汚泥」に当てはめたもので、石炭代替やRPF代替としての利用が見込まれます。
特長は、下水汚泥の発酵熱を使って乾燥するため外部からの熱源が不要で、多額の設備投資がかからず、コスト面において優れていることです。 また、つくられた固形燃料を保管する場合に自然発火するなどの危険性がないことも確認済とのことです。 原料の下水汚泥を年間6千tとして計算した場合、焼却に比べCO2排出量を1,600t削減でき、 既存の炭化方式や 造粒乾燥方式と比べてもCO2の排出量は極めて少なく、環境面でも優れた加工技術といえます。
県公社では事業化に向けて「下水汚泥の固形燃料化研究会」を組織して検討中です。事業化には、固形燃料の販路確保等の課題を克服する必要があるため、あと2~3年程度かかりそうです。
財団法人福井県産業廃棄物処理公社 http://kore.mitene.or.jp/~sanpai/
複数のリサイクル手法を組み合わせている中央化学 近年ケミカルリサイクルを重視
プラスチック食品包装容器メーカー大手の中央化学では、マテリアルリサイクル(MR)やケミカルリサイクル(CR)、サーマルリサイクル(TR/エネルギーリカバリー)といった3つの手法を組み合わせた「ベストミックス」により、使用済みプラスチック食品容器の循環型リサイクルシステムを構築しています。
同社では1989年から小売店などの店頭で使用済み発泡スチロールトレーを自主的に回収し、主にMR(材料リサイクル)の手法でベンチやチェア、テーブル等にリサイクルしてきました。
2009年から新日鐵住金と協力体制を確立し、コークス炉化学原料化法によるプラスチック食品容器のケミカルリサイクルシステムをスタートしました。これにより使用済みプラスチック食品容器は化学的に熱分解されて、軽質油やタールなどの炭化水素油とコークス炉ガスになります。このうち軽質油はPS樹脂などの原料に生まれ変わっています。コークス炉化学原料化法の優位性は以下のとおりです。
(1)バージン原料としての資源化が可能⇒原料の衛生安全性が保証
(2)選別が不要⇒すべての廃プラスチック素材がリサイクル可能
中央化学のリサイクル比率は、2012年度実績でMR6割、CR3割、TR1割となっています。再生品の衛生安全性の保証、店頭回収品目の拡大が求められる状況下、近年、CRの拡大傾向が続いています。
リサイクルシステムの構築においては、効率的な処理、リサイクルフロー全体の環境負荷低減効果等を考慮し、同社の一部エリアではサーマルリサイクル(固形燃料化=RPF)も取り入れられています。回収拠点の近隣業者を起用して回収品の輸送距離の短縮を目指しています。回収したプラスチック食品容器は粉砕され、木くずや紙くずなどと一緒に固形化されたうえで、製紙会社などのボイラー用燃料として再利用されます。
中央化学「CSR-環境レポート2012年度版」
http://www.chuo-kagaku.co.jp/eco/environment/images/report2012.pdf
幼児向けリサイクル教育を展開 ベネッセの「くるくるリサイクル」
当協会でも小・中学校への出前授業や小学生向けのリサイクルに関する学習支援サイトを有していますが、主に小学生以上を対象としています。企業が公開しているリサイクルに関する教育用サイトもいくつかありますが、小学生未満の幼児向けとなるとあまりみあたらないようです。そのようななか、ベネッセコーポレーションは2010年から、就学前の幼児を対象に、自社教材を回収してプランターやDVDケースなどに再生する環境教育事業(「くるくるリサイクル」)を開始しました。
「くるくるリサイクル」は、同社が主催する「しまじろうコンサート」会場に設置した回収ブースに、いらなくなった教材やDVDケースなどをコンサートに参加した幼児自ら持ってきてもらい、そこにある「くるくるボックス」へ入れさせるというものです。回収したものの一部はプランターに再生したり、DVDケースとして教材の一部に再利用したりしています。
「自分で入れる」という実際の経験を通じて、自分にとってはいらなくなったものでも、新しく生まれ変わり再び利用されるということを理解させることができます。回収ブースではキャラクターの演出もあり、幼い子にも親しみやすいものになっています。
2010年度は3,433人、11年度は4,872人が参加し、年々増加しています。回収した教材は、2010年度は827㎏、11年度は2,563㎏でした。11年度の素材別内訳は以下のとおりです。
プラスチック | 1,491kg |
木 | 317kg |
布 | 432kg |
DVDディスク | 160kg |
DVDケース | 163kg |
合計 | 2,563kg |
保護者からは「子どもにリサイクルを教えるきっかけになった」、「思い出のつまったおもちゃが生まれ変わるのはうれしい」といった声が寄せられています。
くるくるリサイクル(ベネッセ)
http://kodomo.benesse.ne.jp/ap/project/recycle/
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