2015.08.15

【上海 第1回目】中国(上海)のプラスチック容器包装について

【上海 第1回目】中国(上海)のプラスチック容器包装について

【上海 第1回目】(全3回を予定しています)

協会会員会社の海外駐在員や家族からのレポートをお送りします。

第1回目は、中国上海市から 東ソー(株)グループ  東曹(上海)貿易有限公司 中村様夫人 中村綾子様 の報告です。

主人の転勤に伴い、中国の上海に移り住んで3年目(2015年時点)になる中村綾子といいます。日本にいた頃から環境問題への関心がありましたが、日本と近い面も多い一方で、広大な大陸の国家であるがゆえのさまざまな違いも感じられるここ中国(上海)でのプラスチック容器包装の状況についてお伝えする機会を頂くことができ大変嬉しく思っています。この場をお借りし、関係者の皆様に深く感謝致します。説明不足と感じられる部分もあるかと思いますが、ひとつでもたくさん『へえ、そうなのか!』と思っていただけられるよう、また上海での実際の暮らしも見えるよう紹介していきたいと思っています。

どうぞよろしくお願いいたします。

1.プラスチック容器包装はどのように使われているか?

上海では昔ながらの路上移動販売や各種市場、個人商店だけでなく、大小のスーパーマーケットやデパート、コンビニエンスストア、そしてネットショッピングなども充実しており、日常品の買い物については日本とほぼ同じくらい便利です。

 

特売品がある場合はその商品をどっさり買い込む人もたまに見かけますが、生鮮食品については中国の人はあまり買いだめせずに、より新鮮なものをその日に使う分だけ買う家庭が多いように見受けられます。

生鮮食品は重さあたりの単価で販売されていることが多く、路上移動販売店、市場、個人商店では店主と話をしながら山積みされた商品の中から客自らが選りすぐって購入します。

またスーパーマーケットでは、市場などのように生鮮食品を山積みにしたコーナー(買いたい分だけポリ袋に密閉して重量計測後に値札付けします)もありますが、中国では薬品を大量に使用した食品が出回っていることが社会問題化していることから、外国人だけではなく、富裕層を中心に地元住民の方も食品の安全性を考えて、有機野菜や減農薬野菜、無農薬野菜などの差別化された商品を選ぶよう意識し始めていることから、こうした商品を事前に個別包装し値札付けして販売するケースが大型店を中心に多くなってきているように感じます。

こうした個別包装は商品の形状により、プラスチックケースやプラスチックパックだけのもののほか、プラスチックトレーに乗せたものをラップしたりしているものもあります。

 

余談ですが、新鮮かどうかを見分けるため野菜や果物を手に取って見るだけでなく、購入価格を安くするために果物・野菜のヘタなど不要な部分をその場で取り除く強者もたまに見かけます。

特に上海では奥様ではなくご主人が料理をすることも多いようで、販売コーナーで粘っている男性客も割合多いです。

ちなみにこうした場合でも、お店の人は黙って見ていることが多いのですが、日本人の感覚からすると、くずがあちこちに散乱しているだけでなく、多くの商品がすでに誰かの手に取られた後の状態であるため、衛生面でどの程度妥協できるかが考えた上でこうした売り場で購入するかを考えなければなりません。(販売価格は個別包装品よりも安価です。)

市場

【写真】市場の様子

次に飲料についてですが、中国国内企業の商品以外に、外資系企業の商品や輸入品も多いこともあり、様々な形状で販売されています。まず生活の上で欠かせない水ですが、水道部分に浄水器を取り付けて飲用する家庭もあるようですが、ウォーターサーバー用ボトル(2~20リットル程度)を直接販売店に注文する人や、ペットボトル(500ミリリットル~3リットル程度)を購入する人が多いようです。

 

ジュースやお茶類はペットボトル入りが主流ですが、一般的に中国人は季節を問わず体を冷やすことは良くないと考える人が多いようで、自宅などで作った温かいお茶を水筒に入れて持ち歩く人が多いです。

 

コーヒーは日本ほど人気がないようですが、日系のコンビニエンスストアでは缶入り、ペットボトル入りのものが数種類売られています。また、牛乳は一部日系企業が中国で製造していることもあり、日本で一般的な形状の紙パックのほか、重ねやすい四角柱型の紙パック、プラスチックボトルなどがあり、また中国ならではの豆乳はストローを挿して手軽に飲めるプラスチック袋(200ミリリットル程度)入り、また紙パック入り(日本からの輸入品)があります。

 

そして酒類は紙パックを使ったものはほとんど見かけず、缶(ビール)、ビン(ビール、その他の酒類)が主流のようです。

マヨネーズ

【写真】マヨネーズはチューブ入りとビン入りがあります。
ちなみに味は、おなじみの味以外に、果物にかける甘いバージョンがあります。日本では果物自体が甘いものが多いので必要なさそうですが、中国の果物はあまり甘みを感じられないものが多いです。
(野菜自体の味も日本と比べるとほとんど感じられません。)

即席麺

【写真】即席麺は紙製容器が主流
中国では即席麺が大人気で、種類も多く、街中でも食べている人をよく見かけます。

テイクアウト用容器

【写真】テイクアウト用容器
食べ物をテイクアウトする際にいろいろな容器が使われています。また、飲食店で料理を食べきれない場合は持ち帰り用容器を頼み持ち帰ることも多いです。上海で有名な焼小龍包もテイクアウトする場合はプラスチック容器に入れられます。

そしてシャンプーなどのトイレタリー用品や洗濯用などの洗剤についてですが、自分が上海に来て間もない2013年初めの頃はほとんどがプラスチックボトル入りで販売されていたように記憶していますが、最近はボディソープや洗濯用洗剤の詰め替え用商品が一部見られるようになりました。

 

(2013年初め時点で洗濯洗剤はプラスチックボトル入り品(1、2、3リットル)と詰め替え用パウチ容器入り品(1.5リットル程度)があり、正確な価格は覚えていないのですが、単価が安い順が何故か固形2リットル、3リットル、1リットル、詰め替え用パウチ容器品の順であり不思議に思ったのを覚えています。

 

ちなみに最近自分が洗濯洗剤を購入した際は特売時期と重なったこともありましたが、単価の安い順にパウチ容器品、固形3リットル、2リットル、1リットルとなっていて、納得できました。)また、日本ではトイレットペーパーは数ロールがまとめてパッケージされているだけですが、こちらではロールを個別にパッケージしたものを、10ロール前後で横並びにパッケージして売られているのが一般的です。

 

きちんと個別包装されていない商品に対する衛生面の不安や、表示の数量より減らされているのではないかといった誤解を防ぐためなのかもしれないと想像しました。日系メーカーのものは日本でのような包装に近く、個別の包装はされていませんでした。

洗剤のプラスチック容器

【写真】洗剤のプラスチック容器

日系メーカーのトイレットペーパー

【写真】日系メーカーのトイレットペーパー

中国メーカーのトイレットペーパー

【写真】中国メーカーのトイレットペーパー

2.レジ袋はどのように使われているか?

インターネットの情報(百度百科)によると、レジ袋については中华人民共和国国务院办公厅(中華人民共和国国務院弁公庁*)が2007年12月31日に公布した『国务院办公厅关于限制生产销售使用塑料购物袋的通知(プラスチックレジ袋の製造・販売・使用の制限に関する国務院弁公庁通知*)』により、2008年6月1日以降の中国全国における厚さ0.025mm未満のプラスチックレジ袋の製造、販売と使用の禁止と、商店でのプラスチックレジ袋の有料化が義務付けられています。

 

また、北京の主なスーパーマーケット、市場でのレジ袋の販売価格は1枚当たり0.1元から最高で1.5元、そして、私自身もよく利用するフランス系大手スーパーマーケットのカルフール(家乐福)では、1枚当たり小型が0.2元、中型が0.3元、大型が0.4元とのことでした。(1元=約19円(2015年3月末時点))

 

 

スーパーマーケットなどでの買い物の際には会計時にレジ袋が必要かどうかを必ずと言っていいほど聞かれますし、また、レジのすぐ近くにはエコバックが販売されています。

 

一般的に、中国での物価は日本よりも安いというイメージを持たれがちかと思いますが、ある程度信頼できる商品を購入するとなると(特に上海では)日本よりも生活費がかなりかかるため、家計節約のためにもマイバックは欠かせませんし、現地の方も年配の方を中心にマイバック持参で買い物をされている方が多いです。

若い世代では便利さからレジ袋を購入する人の割合が少し高いように思われます。

 

また、とりわけ日本人客の多いスーパーでは、レジ袋とは別に、レジで生鮮品を必要に応じて個別に無料でPE小袋に入れてくれるところもあります。 (*訳語は私訳です。)

3.ペットボトルはどのように使われ、排出されているか?

すでに1でお話ししたように、ペットボトルは水、お茶、ジュースやコーヒーなどの清涼飲料水などの飲料の容器に幅広く使われているほか、料理用油(一般的な家庭での料理はほぼ毎日中華料理のようで、また、中華料理では大量に油を使うためか、油は1~2リットルの大きなペットボトル容器入りのものがたくさん売られています。)、また、ビン入りが多数ですが、お酢、しょうゆなどの調味料の容器にも一部ペットボトルが使われています。

ボトルの種類も透明なものだけではなく、特に清涼飲料水では着色したものも使われています。

 

使用後のペットボトルについては、次回の4で詳しくお話しする予定のごみの分類では「リサイクル可能なもの」となりますが、さらに細かい分別が要求されていないため、他の種類のプラスチックとの分類や、着色の有無による分類、キャップやラベルを外すことなどは特に行わずに排出されています。

(従って、日本でのようなペットボトルのラベルを簡単に外すためのミシン目はついていません。)

ウォーターサーバー用のペットボトルについては職場などでまとめて購入し、空になった容器はある程度集めておき、適当な頻度で販売業者が再び回収します。

 

街中では回収したウォーターサーバー用ボトルをバイクやリアカー、トラックなどで運ぶ業者を見かけることがあります。

あるウォーターサーバー販売業者に問い合わせてみたところ、洗浄・再充填を一定期間繰り返し古くなったウォーターサーバー用ボトルについてはリサイクル業者が買い取りリサイクルされるということでした。(使用済みボトルの具体的な売却金額については残念ながら教えていただけませんでした。

ペットボトル入り水

【写真】ペットボトル入り水