2011.10.15

2011年10月掲載 小型電気電子機器のリサイクル制度を検討中環境省は2011年内に結論か

2011年10月掲載 小型電気電子機器のリサイクル制度を検討中環境省は2011年内に結論か

小型電気電子機器のリサイクル制度を検討中 環境省は2011年内に結論か

デジタルカメラや携帯電話、ゲーム機など小型電気電子機器には、鉄、アルミなどの金属のほか、貴金属、レアメタル・レアアースなど有用金属が含まれていることから、廃棄される使用済み製品は「都市鉱山」とも呼ばれます。

これらの資源を有効利用するにはどうしたらよいか、環境省と経産省は2008年から「使用済小型家電からのレアメタルの回収及び適正処理に関する研究会」でさまざまな観点から検討し、2011年3月に報告書がまとめられました。報告では現在は市町村に排出された使用済み製品はほとんどが最終処分場に埋め立てられている現状や、不適正な海外輸出も行われていることがわかりました。

 

この報告を受け、環境省は中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会の下に「小型電気電子機器リサイクル並びに使用済製品中の有用金属のリサイクルに関する小委員会」を置き、2011年の年内にも報告をまとめる予定です。8月22日までに全5回の小委員会が開かれ、リサイクル制度創設の意義や回収の規模、方法、対象品目などが検討されています。事務局の試算では、年間の使用済小型電気電子機器に含まれる有用金属の量は重量で28.4 万トン、金額で874 億円と推定されており、リサイクル制度ができても、採算面では厳しいと予想されます。しかし、循環型社会の形成を推進する観点から、使用済製品のリサイクルのあり方が検討されています。

 

なお、自治体ではすでに先行的に小型電気電子機器の回収リサイクルに取り組んでいる例もあります。経産省は2011年5月に「自治体における小型家電リサイクルの先進的取り組み事例」を発表しました。

先進的事例として選ばれたのは、①足立区②安城市③石狩市④射水市⑤尾張東部衛生組合⑥黒部市⑦高岡市⑧調布市⑨常滑武豊衛生組合⑩砺波市⑪富山市⑫豊田市⑬名護市⑭半田市⑮氷見市⑯安来市で、取り組み方法なども写真入りで紹介されました。

 

7月1日には北海道帯広市でも「使用済み小型家電」21品目の無料回収が始まり、8か月で2.5トンを回収する見込みでしたが、2か月足らずでその半分が回収されました。各自治体の取り組みは、今後も広がりそうです。

リサイクル8団体でつくる3R推進団体連絡会が 2015年までの第二次行動計画を策定

容器包装の素材にかかわるリサイクル8団体(注)は、各団体の独自の取り組みを基礎にしながら3R推進団体連絡会として連携をとって活動しています。同連絡会は2011年3月、各容器包装の3R(リデュース・リユース・リサイクル)を進めるための第二次自主行動計画を策定・発表しました。

第二次計画策定に当たり、2006 年3 月に策定した第一次自主行動計画後の5年間の成果がまとめられましたが、リデュースでは8 素材中6 素材(飲料用紙容器とPETボトル以外)が目標を上回るなど、成果をあげました。

 

第二次自主行動計画では、数値目標を掲げて毎年フォローアップしていくとともに、フォーラムなどによる情報共有、意見交換などの連携強化も目標としています。リユースについてはガラスびんのリユースはこれまで通り進め、PET ボトルのリユースシステムは実証実験の結果、限定的に行うか、リターナブルに近いリサイクル(ボトルへの再生利用)を支援するとしています。

リサイクルの数値目標

洗剤などの容器包装プラスチック、使用量が増えても排出量は14年間で13%減 詰め替え容器やコンパクト型が普及

洗剤

日本石鹸洗剤工業会・環境委員会は、会員企業14社を対象に、1995年以降、容器包装に使用したプラスチックの量を調査し、その結果をまとめています。2010年12月に発表された2009年のまとめからは、洗剤などの濃縮化・コンパクト化、あるいは詰替え・付替え用製品の開発・発売により、容器包装プラスチック使用量の削減努力の結果が明らかになっています。

2009年におけるプラスチック使用量は62.9千トンで、前年よりも3.4%増加しましたが、1995年との比較では13%削減となり、製品内容量当りのプラスチック使用量(原単位)は前年に比べてさらに2%減、1995年比では37%も削減されました。つまり、製品出荷量の伸びに比べて、プラスチック使用量の伸びを相対的に抑えていることがわかります。とくに、ここ数年で洗濯用液体洗剤の濃縮によるコンパクト容器、詰め替え容器の出荷量が増加しており、排出量の削減にもつながっていると見られます。

また、日本石鹸洗剤工業会・容器廃棄物専門委員会は、毎年、各製品のプラスチック使用削減事例集をまとめています。

プラスチック使用量の数値

プラスチック使用量と原単位指数

廃棄物の熱回収施設の認定制度創設される

環境省は、2010年5月の「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の改正」に伴い、熱回収施設設置者認定制度を2011年4月から施行しました。

廃棄物を焼却するとき、廃棄物発電やその他の熱の利用という形で熱回収(サーマルリサイクル)することは、循環型社会と低炭素社会を統合的に実現するうえで重要ですが、廃棄物処理業者においてはその取り組みは十分には進んでいないことから設けられた制度です。

 

対象になるのは一般廃棄物処理施設(市町村が設置した一般廃棄物処理施設を除く)または産業廃棄物処理施設で、「10%以上の熱回収を的確かつ継続的に行える」などの基準を満たす施設の設置者です。

認定されると、廃棄物の保管量が処理能力の14日分から21日分まで拡大されるなどの優遇措置があります。環境省の調査では産業廃棄物の焼却炉1414炉の内69%の979炉は余熱を利用していませんでしたが、この制度により、熱利用が促進されることが期待されます。

 

マニュアル本文は環境省ホームページからダウンロードが可能です。

日本プラスチック工業連盟が 「海洋ごみ問題解決のための世界プラスチック業界団体による宣言」に署名

漏出防止ポスター

日本プラスチック工業連盟(プラ工連)は、2011年3月、各国のプラスチック業界団体とともに、「海洋ごみ問題解決のための世界プラスチック業界団体による宣言」に署名しました。

海洋科学者による調査では、捨てられたプラスチックやその他の材料が、海洋環境への負荷となっていることが警告されてきました。なかでも、レジンペレット(直径0.5cm前後のプラスチック小粒)は、プラスチック事業者がその大半を取扱っており、業界として直接的に漏出防止を実行する必要があり、宣言には「プラスチックレジンペレットや製品の輸送や配送の管理をする。 又、顧客が同じように管理してくれるよう促す」という項目が入っています。

プラ工連は、約20年前から「樹脂ペレット漏出防止マニュアル」を作成し、数年ごとにアンケートを実施するなどして、業界への呼びかけを促しており、今回の署名をきっかけに、さらに注意を喚起すると見られています。

PETボトルからPETボトルへ サントリーがリサイクルしたPET容器を飲料で使用

リサイクルしたPETボトル

サントリー食品インターナショナル株式会社は栃木県の協栄産業株式会社と共同で、PETボトルの新たな「ボトル to ボトル」(ボトルからボトルへ)リサイクルシステムを構築し、2011年5月から、製品(「2リットル入りサントリーウーロン茶」)に使用しています。

それまで、内閣府食品安全委員会で承認されたPETボトルの「ボトルtoボトル」には2つの方式がありました。それらはどちらも、PETボトルを化学的に分解してPET原料にもどし、再び新しいPETボトルをつくる日本独自のケミカルリサイクルでした。

このほどサントリーと協栄産業が開発した方法は、「メカニカルリサイクル」。メカニカルリサイクルとは、回収したPETボトルを粉砕・洗浄した後、再縮合重合プラントという設備を使って、高温、減圧下等で一定時間の処理を行い、再生材中の不純物を除去して高品質な再生ペット樹脂を生産する方法です。安全性については、米食品医薬品局の安全基準を応用して実験を行い、安心して使用可能なことを確認しました。

 

現在は、この再生ペット樹脂を50%含むペットボトルを成形したものがPETボトルとして実用化されています。

今回、メカニカルリサイクルによる樹脂を50%、ケミカルリサイクルによる樹脂を50%配合しており、これにより石油原料を約90%、CO2(製造時の排出量を含む)を約60%削減。今後、メカニカル再生ペット樹脂の含有量を高めていきたいとのことです。

(出典 サントリープレスリリース)

サントリー http://www.suntory.co.jp/
協栄産業  http://www.kyoei-rg.co.jp/