2021.12.15
2021年12月掲載 2020年廃プラスチック総排出量は822万t、有効利用率は86% プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況(マテリアルフロー図)を公表
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このたび「プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況」(マテリアルフロー図/以下、フロー図と略称)を公表しましたので、その概要をご紹介します。
本年は、①MR量(再生利用量)の見直し、②MR品輸出量の見直しを行いました。①ではMRされる使用済製品を可能な限り洗い出し、各種の統計を基にそれらがMRされる量を精査した上でMR量の積み上げを行い、MR量を4~5万t過大評価していたことが分かりました。②ではMR 品(=プラ屑+再生原料)の輸出実態を把握するため、プラ屑以外の形で海外へ輸出される再生原料量を推算し、2020年は62万t であることが分かりました。
2020年国内の「樹脂生産量」は、新型コロナウィルスの影響による生産活動の制約、消費活動の低下により、樹脂製品の需要が減少したため、前年比87万t減の963万tとなりました。その内訳は下図のとおりで、生産量はポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン類(AS、ABS含む)の順となっています。
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樹脂生産量(963万t)の樹脂種類別内訳
また「廃プラ総排出量」は前年比28万t減の822万tとなり、このうちの86%にあたる710万tが有効利用されました。
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廃プラスチックの総排出量・有効利用/未利用量・有効利用率の推移
「廃プラ総排出量」の分野別、樹脂別内訳は下図のとおりで、昨年同様、分野別では包装・容器等/コンテナ類が、樹脂別ではポリエチレン、ポリプロピレンが主なものとなっています。
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廃プラ総排出量(822万t)の内訳
上記「分野別内訳」につき、これを「一般系廃棄物」(410万t)、「産業系廃棄物」(413万t)別でみたものが以下の図です。一般系廃棄物では「包装・容器等/コンテナ類」のみで全体の8割近くを、産業系廃棄物では「電気・電子機器/電線・ケーブル/機械等」と「包装・容器等/コンテナ類」の二つで全体の半分を占めていることがわかります。
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(左)一般系廃棄物(410万t)の分野別内訳 (右)産業系廃棄物(413万t)の分野別内訳
有効利用率86%の内訳は、マテリアルリサイクル21%、ケミカルリサイクル3%、サーマルリサイクル(エネルギー回収)62%となりました。有効利用率の一層の向上のためには、14%(112万t)を占める未利用の単純焼却(8%:66万t)、埋立(6%:47万t)をリサイクルの流れの中にうまく取り込んでいく必要があります。
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一方、マテリアルリサイクルの利用先としての廃プラスチック輸出量は、プラ屑として74万t、再生原料として62万tの合計136万tで、マテリアルリサイクル品の8割近くが輸出されています。
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フロー図には環境負荷情報も記載しています。環境削減効果(削減貢献量)は、日本国内で消費されるプラスチックを対象とし、廃プラスチックをフロー図記載のとおり有効利用した場合と有効利用せずに単純焼却したと仮定した場合とについて、プラスチックのライフサイクルにおける各段階(原料調達、プラスチック製造、同加工、使用済品の収集・回収、使用済品の処理・処分)のエネルギー消費量、CO2排出量をそれぞれ算出し、各総計の差をとることで求めています。
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フロー図記載数値に基づく2020年のエネルギー削減効果は、前年比15PJ減の244PJ (一般系廃棄物95PJ、産業系廃棄物149PJ) となりました。244PJは、家庭消費総エネルギー量の6.9%、400万世帯分に相当します。
* PJ: ペタジュール=10の15乗ジュール
またCO2削減効果は、前年比87万t減の1,684万t(一般系廃棄物625万t、産業系廃棄物1,059万t)で、これは家庭からのCO2総排出量の6.7%、390万世帯分にあたります。
* 家庭消費総エネルギー量( 自家用車の使用量を含む) : 3,530PJ(60.9GJ/世帯)
* 家庭からのCO2総排出量(自家用車の排出量含む) : 2.50億t-CO2 (4.31t-CO2/世帯)
上記は2017年の経産省・環境省データを基にプラスチック循環利用協会で計算した値を使用
* 全世帯数 : 5,801万世帯 (2018.1.1. 総務省Webサイトより)
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プラスチックを使うことはややもすれば環境に悪いものとみられがちですが、上記のとおりプラスチックうまく使うことによって実は環境負荷軽減に多大な貢献しているということをおわかりいただけるのではないでしょうか。
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